阪神通訳の伊藤ヴィットル氏(左)(写真は24年6月)

阪神で通訳を務める日系ブラジル3世の伊藤ヴィットル氏(29)が選手としてブラジル代表候補となっていることが22日、分かった。選出となれば通訳、代表選手と異例の兼任となり、3月上旬に米国で行われるWBC予選に出場するとみられる。

伊藤氏は昨年4月に通訳として阪神に入団。育成外国人のベタンセス、マルティネスを中心に、スペイン語、英語を使って助っ人陣をサポートしてきた。再びユニホームに袖を通せば、社会人野球の日本生命でプレーしていた22年以来の現役復帰となる。

生まれてから中学までをブラジルで過ごした伊藤氏は、父や兄の影響で野球に熱中。共栄大4年時の16年に初めて、WBC予選でブラジル代表入りした。卒業後は日本生命で5年間プレー。翌23年は同社での勤務を続けていたが、同代表の同僚でヤクルト、巨人の通訳も務めた金伏ウーゴ氏の助言もあり転身した。

ブラジル代表の監督を務めるのは、ヤクルトの松元ユウイチ外野守備走塁兼作戦コーチ。同代表のWBC出場は13年の1回のみで、当時は第1ラウンド敗退となったが、同組だった日本に3-5と善戦している。

伊藤氏は2月1日に始まる阪神春季キャンプに同行するが、代表に選出された場合、2月中旬にチームを離れてブラジル代表に合流する見込みだ。虎の助っ人通訳が、母国の助っ人選手になるかもしれない。

◆伊藤ヴィットル(いとう・ヴィットル)1995年2月16日、ブラジル生まれ。本庄第一高入学を機に来日し、共栄大から日本生命に入団。俊足巧打が持ち味の遊撃手として5年間プレーし、19年の社会人日本選手権では準優勝に貢献。17年、23年WBCの予選(16、22年)でブラジル代表入り。23年1月に日本生命硬式野球部を退団。右投げ左打ち。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】異例の兼任?WBC出場?伊藤ヴィットル通訳がブラジル代表候補に 22年まで日本生命所属