米殿堂入り確実イチロー氏、日本開催のメジャー開幕戦で大谷に始球式という歴史的シーンが見たい
日本の野球殿堂に、イチロー氏が有資格1年目で選出されました。21日(日本時間22日)には米野球殿堂入りも発表予定で、日本人初の選出が確実視されています。
米東部ニューヨーク州クーパーズタウン。大都会ニューヨークから北へ約314キロの距離にある人口約1800人の田舎です。そこに米国の野球殿堂博物館があり、毎年約25万人もの人たちが来館。偉大な野球人にとっての最終目的地となっています。
1936年に最初の殿堂入り表彰が行われ、タイ・カッブ、ベーブ・ルース、ホーナス・ワグナー、クリスティ・マシューソン、ウォルター・ジョンソンの5人が選出されました。それ以来、全米野球記者協会の記者投票により殿堂入りは合計348人、そのうち元大リーガーは275人を数えます。
1876年にナ・リーグ、続いて1901年にア・リーグが創設され、昨年までメジャーリーグで合計2万787人もの選手がプレー。そのうち、殿堂入りが275人ということは、たったの1・3%という狭き門になっています。
現役時代の成績だけでなく、高潔さやスポーツマンシップ、人格なども選考基準となります。従って、八百長事件に関与したシューレス・ジョー・ジャクソン、野球賭博で永久追放されたピート・ローズ、薬物使用疑惑があったロジャー・クレメンス、バリー・ボンズらは選出されていません。
昔は黒人選手が1人も顕彰されませんでしたが、71年にニグロリーグ特別委員会を設置。すると、史上最高の投手といわれるサッチェル・ペイジ、黒いベーブ・ルースことジョシュ・ギブソンらが続々と殿堂入りしました。現在ではニグロリーグ出身者が合計37人を数えます。
73年に初のラテンアメリカ出身選手として、多大な社会貢献もしたプエルトリコの至宝ロベルト・クレメンテが殿堂入りしました。今世紀に入って中南米出身選手の活躍とともに増加し始め、今ではキューバやドミニカ共和国など合計19人います。
他にカナダやオランダなども含めると、外国人の数は8カ国で合計23人に達します。しかし、アジアの日本、韓国、台湾などからはまだ1人もいません。そんな中、初の日本人としてイチロー氏が殿堂入りします。しかも、これまで60人しかいない、有資格1年目での選出となります。
19年に殿堂入りした史上最高のクローザー、マリアノ・リベラに次ぐ、史上2人目の満票なるかにも注目が集まっています。16年ケン・グリフィーJr.、20年デレク・ジーターは惜しくも満票を逃しており、もしイチロー氏が満票になれば、野手では初の快挙となります。
現役引退後、マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は一足早く、22年8月27日に球団の殿堂入りを果たしました。当時エンゼルスの大谷翔平投手がビデオメッセージで「小さい頃から目標にしていました」と祝福の言葉を述べました。23年4月のマリナーズ戦では、大谷がイチロー氏に向かって帽子を脱いで深々とお辞儀。イチロー氏が差し出した右手を、両手で包み込むように握手しました。米スポーツメディアなどで「お互いに抱く敬意が素晴らしい」などと褒めたたえていました。
3月18日には日本でメジャー開幕戦が行われます。19年の日本開幕シリーズを最後に現役引退し、今年日米同時殿堂入りのイチロー氏が再び東京ドームに現れ、ドジャース大谷を相手に始球式という歴史的なシーンが見たいものです。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)