【西武】ライオンズひと筋24年目の中村剛也に問いかけられた「考えます? 日刊スポーツの…」
西武の中村剛也内野手(41)はこの冬、水色のライオンズ帽をかぶっている。16日、自主トレの公開日にもかぶっていた。
「自分のです。ちょっと昔に買ったやつ」
ネット通販で買ったもよう。「ハセとかも持ってるでしょ」。19歳年下の長谷川信哉外野手(22)も同じものを所有していることを知っている。
ライオンズ帽でノックを受けた。絵になる。途中でなぜか渡部健人内野手(26)と帽子を交換。渡部健も「なんでだったんですかね?」と理由が分からぬまま。早めにボール渡し係に名乗り出たから、身代わり作戦だったのだろうか。
黄金時代の西武帽はチーム愛の現れにも見える。自主トレを終え、まずは栗山巧外野手(41)に西武の好きなところを聞いた。
「やりやすいようにやらせてもらえるのが、このチームの良さやと思います。個性を生かしてもらえる」
要約するとそんな感じの返答だった。同じことを中村剛に尋ねる。
「えーっ!?」
声を張った。
「…好きなところ? そうっすね、うーん、さぁ、そんなこと考えたこともないっす」
西武のいいところは。
「えーっ、そういうのも考えたことないっすよ。考えます? 日刊スポーツのどこが好き、とかって」
自社の好きなところ…自問自答したものの、瞬時には模範解答が出ない。「それと一緒です。ハハハハハッ」と笑っていた。
ゆるりと流れる時間の中、ライオンズひと筋、今年で24年目。己と向き合い、個の技術を最大限に発揮するのが大前提の仕事だ。それでも「一緒に練習していると、ちょっと炭谷が僕より年上みたいな雰囲気を出してくる時があるんですけど。昔はかわいかったっす」。そんないじりにも、愛着と歩みの深さがにじみ出る。
帰り際を待って、あらためて尋ねる。好きだから、レジェンド帽をかぶっているのでは?
「えーっ、別に。なんでって? うーん、僕はライオンズの選手だから」
それが答え。寒いのに妙に涼しげな格好で帰路についたのも「車だから」と明快だった。【金子真仁】