野球殿堂入り通知式を終えバース氏のレリーフと笑顔で写真に納まる掛布氏(撮影・垰建太)

阪神OBでミスタータイガースと呼ばれた掛布雅之氏(69)が16日、エキスパート表彰で殿堂入りした。

阪神出身者の選出は23年のランディ・バース氏以来となった。虎一筋の現役時代は本塁打王3回、打点王1回。1985年には4番打者として球団21年ぶりのリーグ優勝、初の日本一に導いた。指導者としても阪神2軍監督などを歴任して球界に貢献。虎の4番道を貫いたレジェンドは最後、今季4番候補の森下ら新生タイガースクリーンアップに大きな期待を寄せた。

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掛布氏が栄えある殿堂入りに笑みをこぼした。エキスパート表彰の会見中。「携帯電話にとてつもない(祝福)メールが入ってきてすごいんです」と照れた。

「同じ打者としてイチローさん、王(貞治)さんと肩を並べる形で殿堂入りできたことがうれしい。自分がしてきた野球にウソはなかったなと思いました。こういった環境を作ってくれたおやじ(泰治氏)を含めた家族に感謝しています」

エキスパート表彰の対象となった19年以来、地道に票を伸ばした。24年は有効投票数までわずか2票届かず。1年後、満を持して当選を果たした。

85年4月17日の巨人戦(甲子園)でのバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発は今も語り草となっている。球団21年ぶりのリーグ優勝、初の日本一の足掛かりとなった。

「長嶋(茂雄)さん、王さんに憧れた1人。昭和60年(85年)の巨人は王監督で、4番原(辰徳)さんに負けたくない気持ちもありました。そんな巨人を倒して日本一になったのはいい経験です」

ドラフト6位からスター街道を駆け上がった。77年開幕戦ではヤクルト松岡弘から満塁本塁打。78年11月に西武へ移籍した田淵幸一氏の後釜として「4番」に定着した。

「田淵さんのトレードが決まった時、『江夏と俺のように途中でタテジマを脱ぐような選手になるな』と言われたのをいまだに覚えています。阪神の4番像は僕にとって田淵幸一なんです。負けを背負って戦う田淵さんを見て、4番はこうあるべきだと思いました」

79年に初代ミスタータイガース藤村富美男氏を抜く48本塁打で初の打撃タイトルを獲得。藤村氏、村山実氏、田淵氏から「ミスタータイガース」を受け継いだ男は今、後輩たちによる称号継承を願う。

「森下が4番を打つんじゃないかと言われていますが、そういう気持ちでチームを引っ張ってほしい。大山というフル出場した4番もいる。僕にとっての田淵さんのような存在に大山がなるよう、素晴らしいクリーンアップを作れるんじゃないかと思います」

OB会長でもある掛布氏は最後、「ファンが一番喜ぶのは優勝、日本一ですから」とタイガース愛で締めくくった。【寺尾博和】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【野球殿堂】掛布雅之氏「素晴らしいクリーンアップを作れる」後輩にミスタータイガース継承願う