【高校女子サッカー】藤枝順心どん底から偉業、前人未到の3連覇 県大会決勝まさかの敗戦から
<全国高校女子サッカー選手権:藤枝順心5-0神村学園>◇決勝◇12日◇ノエビアスタジアム神戸
藤枝順心(静岡2位)が決勝で神村学園(鹿児島)を5-0で下し、史上初の3連覇を達成した。前半4分に、WEリーグアルビレックス新潟レディースに進むFW藤原凛音(3年)が決めた先制点を皮切りに、前半だけで3ゴール。緩めることなく後半にも2度ネットを揺らし、守っても無失点で単独最多の8度目V。これで22年冬から5季連続V。日ノ本学園(兵庫)に並ぶ偉業を成し遂げた。
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王者らしい盤石の試合運びで、藤枝順心が前人未到の3連覇を成し遂げた。
決勝での歴代最多に並ぶ5ゴール、3度目となる大会無失点Vと攻守でライバルを圧倒し、自分たちの持つ優勝記録を「8」に更新。MF植本は「今まで味わったことのない優勝で、最高っていう言葉しかない」と喜びを爆発させた。
大記録達成に向け、選手は日常から意識を高めて過ごしてきた。部室には「絶対王者」と口にして入室。「言葉にすることで常に意識するように」。常勝軍団としてのプライドを磨き続け、冬の戦いに挑んだ。
しかし静岡県大会決勝では常葉学園橘に敗戦。今大会には静岡の2番手として出場することになった。王者としての自信が大きく揺らぐ敗戦に、FW藤原は「本当に苦しくて『このままで大丈夫なのかな』と暗くなった」。一気にどん底に突き落とされた。そんなチームを引き上げたのが「絶対王者シート」だった。ダブル主将のMF佐藤と植本の2人が作成。植本は「3連覇は誰も成し遂げていない。今までと同じではなく、何か新しいことを始めないとできない」と説明。1~3年生が、目標や意識を共有。負けて泣いた3年生を見て、取り組みを変えようとする下級生の考えも伝わり、よりコミュニケーションが増えた。戦術の落とし込みにもつながり、チームが一体となって戦えるようになった。
最後は、中村監督が「この子たちなら3連覇を必ずやれると思っていた。気持ち良く送り出すだけだった」と信じるまでの状態に持ち直しての完勝。藤原は「終わったから言えるけど、本当にプレッシャーが半端なかった」。決して順風満帆ではなかったが、藤色の最強軍団は最後に再び頂点に立った。【永田淳】
○…DF柘植が攻守両面で勝利に貢献した。1-0の前半12分には左CKにつめて貴重な追加点を決め、守備では相手に自由を許さない対応で無失点Vの立役者に。「粘り強い守備ができて、自分たちの良さを出し切れた」と喜びをかみしめた。試合を視察したなでしこジャパンのニールセン監督から「興味深い選手」と評価されたDFは「壁みたいな存在になりたい」と、卒業後に入団するWEリーグ埼玉での成長を誓った。
藤枝市の北村正平市長(78) 大会史上初の3連覇、8回目の優勝おめでとうございます。全国大会制覇は実に5連覇であり、歴史に名を刻む偉業を成し遂げ、まさにサッカーのまち藤枝、サッカー王国静岡の面目躍如です。皆さんの活躍が、何よりも感動と勇気を与えてくれました。市民、県民はもちろんのこと、関係する皆さんと喜びたいと思います。さらなる高みを目指して、一緒に頑張りましょう。