契約更改を終え記者の質問に答える下村(撮影・加藤哉)

才木&遥人ロードを歩む! 23年ドラフト1位の阪神下村海翔投手(22)が19日、兵庫・西宮市の球団事務所でプロ初の契約交渉に臨み、150万円ダウンの1450万円でサインした。(金額は推定)

1年目の今季は4月10日に「右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)」を受け、登板0でリハビリに明け暮れた。同手術を受けて復活した才木や高橋ら先輩の勇姿と金言を胸に、来季はV奪還の使者を目指す。

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下村は濃紺のスーツに身を包み、深々と頭を下げた。「1位で入って、責任はすごく感じています。今、いろんな人に支えられてるので、恩返ししたいという気持ちが一番です」。プロ初の契約更改は150万円ダウンの1450万円。理想とかけ離れた1年目を、厳しい表情で振り返った。

即戦力と期待され、青学大から昨秋ドラフト1位で入団。だが、春季キャンプのブルペン入りは2軍の沖縄・具志川で1度だけ。右肘に痛みを発症しており、4月10日にトミー・ジョン手術を受けた。鳴尾浜でリハビリに専念するしかなく、仲間がキャッチボールする姿を横目に黙々とポール間を走り込む日々だった。

「落ち込んでないと言い聞かせてやっていたんですけど、周りの人からは『顔が暗かった』とたくさん言われていて。最近になってようやくボールも投げられるようになって『笑顔が増えたね』と言われます」

真っ暗なトンネルの先に光が見えた。8月27日に屋外キャッチボールを再開。現在は40メートルほどの距離で、1日おきに25球から50球を投じることができるようになった。

先輩たちの背中が大きな励みだ。阪神では今季13勝を挙げた才木が20年11月に右肘の同手術を受け、退院から約1年3カ月で実戦復帰した。今季4戦4勝を挙げた高橋やリリーフ陣を支える島本も同手術から復活。みんなが鳴尾浜で励ましてくれた。「才木さんは会うたびに『絶対大丈夫になるから』と言葉をかけてくれて、すごく支えになった。同じ手術された方々に追いつけるように、自分も頑張っていきたい」。晴れやかな表情で活躍を誓った。

キャッチボールは徐々に強度を上げる段階に入った。来季開幕は難しそうだが「焦ることなく、でも最短最速で復帰できるように」と復帰プランを描く。「来年中にしっかり試合に投げて、目標は1軍で投げることなので。日本一やリーグ優勝のチームの戦力になれれば」と力を込めた。甲子園のお膝元、兵庫・西宮出身の背番号19。遅れてきたドラ1が地元の大声援を夢見て、復活ロードを歩む。【村松万里子】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】下村海翔150万円減で契約更改「恩返ししたい気持ちが一番」右肘手術を受け今季登板0