日本対ドミニカ 5回裏から登板した井上(撮影・横山健太)

<ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12:侍ジャパン11-3ドミニカ共和国>◇18日◇天母

【台北18日=栗田尚樹】侍ジャパンが圧勝劇で無傷の5連勝を飾り、東京ドームでの決戦に勢いをつけた。

「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」1次ラウンド最終戦のドミニカ共和国戦で、戸郷翔征投手(24)が国際大会初先発し、2番手・井上温大投手(23)との継投で試合をつくった。ホテルの自室で自炊をする2人が“カリビアン料理”を敢行。チームは19日に帰国し、東京ドームで21日米国戦から始まるスーパーラウンドに臨む。

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“米米CLUB”が、侍ジャパンの1次ラウンドを華麗に締めくくった。3点を勝ち越した直後の5回。先発戸郷が続投と思われたマウンドには“上客”の井上が上がった。伸びのある右打者へのクロスファイア、左打者に対しては外角ギリギリを突くスライダー。日本米を台湾でも欠かさない影響からか、肌つやも、球のキレ味も最高。3点リードの6回には暴投から失点を喫したが、2イニングを被安打1、3三振で2勝目。「高めを使いながら、外国人から空振りを取れるんだなって思えたんで。それもまたいい自信にしたい」。カリビアンの料理に成功し、計11三振を奪ってB組の三振王に輝いた。

和の台湾ライフが支えとなった。「戸郷さんに『(部屋に)来る?』って言われて」。日本と変わらない食環境が待っていた。「カレー、瓶にサケフレークが入ってるもの、『ご飯ですよ』のそぼろバージョンとか。乾燥のり」。そこに炊きたての日本米。「やっぱり米はおいしいです。僕は台湾の料理はあまり合わないので」。うどん、そばもあった。朝、試合後の2食は欠かさず、米を取り込んだ。前回登板では極小55センチの帽子が飛んだが、スタッフが縫い合わせてサイズダウン。胃袋は縮まらなかった。

井上と“米米CLUB”を結成した戸郷は国際大会初先発で、本調子とはいかなかった。3回まで毎回先頭に出塁を許し、初回には珍しくボークを取られた。ナイフのようなキレ味のフォークが精度を欠き、適時打とされた。直球、スライダーでアレンジし、4回6三振5安打2失点。「フォークの抜け感が悪かったりとか、いい球もありましたけど」。反省の言葉を並べたが、63球だったこともあり中4日での23日台湾戦、中5日での24日決勝戦での起用も見えてくる。「最後いいところで投げるんでね。チームを勝たせられることが一番ですし。後先考えず、飛ばしていけたら」。待ち受ける決戦へ下準備を怠らない。

たとえば君がいるだけで、とスーパーラウンドへ向けた新たな方程式ともなり得る。戸郷、井上の“米米CLUB”で6回3失点。世界一へと続く浪漫飛行。無傷で台湾生活を終え、19日に日本へ舞い戻る。【栗田尚樹】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【プレミア12】“米米CLUB”井上温大2勝「おいしい」戸郷翔征の部屋での和食がキレ味生んだ