ドジャース大谷翔平(2024年撮影)

メジャーリーグは、全米野球記者協会による表彰ウイークに突入しています。18日(日本時間19日)はア、ナ両リーグの新人王、19日(同20日)は最優秀監督、20日(同21日)はサイ・ヤング賞。そして、トリを飾るのは21日(同22日)のMVPの発表です。

我々にとって最大の注目はナ・リーグMVPです。ドジャース大谷翔平投手は最終候補3人にノミネート。もはや2年連続受賞が確実視されており、3度目となると史上12人目の快挙となります。

メジャーの年間最優秀選手に贈られるMVPの起こりは、1910年、チャルマーズ自動車が両リーグの首位打者に自動車を贈呈したことから始まります。翌11年から最もチームに貢献した選手に対象を改め、14年までチャルマーズ賞は続きました。

その後、1922年から29年まで各リーグが最優秀選手を表彰しました。しかし、ア・リーグは1人の選手が1度しか受賞できませんでした。そのため、当時ヤンキースでホームラン打者として不動の地位を築いたベーブ・ルースは、23年の1度しか受賞がありません。

もし1901年の2リーグ制となった時からMVPの表彰があり、なおかつ1人の選手が何度も繰り返して受賞できたなら、20世紀初頭に最高の選手と言われたホーナス・ワグナーは5回、“球聖”タイ・カッブは4回、ルースは9回受賞したとも言われます。

1931年から全米野球記者協会によるMVPの選出がスタートしました。これまで3度受賞した選手は11人で、ジミー・フォックスをはじめ、そうそうたる顔ぶれ。21世紀に入ってからも「Aロッド」ことアレックス・ロドリゲス、アルバート・プホルス、マイク・トラウト(エンゼルス)ら、おなじみの大スターばかりです。

その中にあって、メジャー記録の年間73本塁打を放ち、歴代1位の通算762本塁打を誇るバリー・ボンズは、2001~04年ジャイアンツ時代の4年連続を含め、断トツの7度もMVPを受賞しています。ただし、彼の場合は薬物疑惑により賛否の声も上がっています。

薬物疑惑があるボンズ、ロドリゲス、まだ殿堂入り資格のないプホルス、現役のトラウトを除けば、MVPを3度以上獲得した7人は、全員が殿堂入りしています。すなわち、大谷が3度目の受賞となれば、まだメジャーで7年の在籍期間しかないとは言え、殿堂入りしたも同然と言えるかも知れません。

さらに注目すべきは、メジャー史上2人目となるア、ナ両リーグでのMVP獲得です。これまで殿堂入りのフランク・ロビンソンが1961年レッズ時代、66年オリオールズ移籍1年目に3冠王となりMVPを獲得。史上唯一、両リーグで最高の栄誉に輝きました。その後、75年インディアンス(現ガーディアンズ)でプレーイングマネジャーとなり、史上初の黒人監督に就任。現役引退後もジャイアンツなど3球団で監督を務め、ア・リーグ名誉会長なども歴任した、偉大なロビンソンに大谷が並ぶことになります。

さらに2年連続で異なるリーグでMVPに輝けば、これまた歴史的快挙となります。この4年間で3度のMVP、それを逃した年も投票2位、そしてこの快挙。ある意味、メジャーで「最強のMVP男」と言えそうです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 大谷翔平、3度目MVPなら殿堂入りは確実 両リーグで受賞はF・ロビンソン以来2人目