仙台育英・山口廉王の運命の日…オリックス3位指名に「うれしすぎるリアクション」のち感謝の涙
24日のプロ野球ドラフト会議で、仙台育英(宮城)・山口廉王投手(18)がオリックスから3位指名を受けました。現地で取材した記者のコラムです。
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運命が動いた日。いつもテレビ越しに見ていたドラフト会議、吉報を待つ場に初めて居合わせた。須江航監督(41)と、笑顔はありながらも緊張した面持ちの山口、それに続き、仲間たちが入室してくると、須江監督が談笑し、場の空気を和ませていた。
それでもやはり1巡目…2巡目…この独特な緊張感に私さえものまれそうになっていた。そして、呼ばれた名前。今や「うれしすぎるリアクション」とオリックスファンを筆頭に話題になっているシーンに、立ち会った誰もが心を奪われた。ふと横にいる野球部の仲間に視線を向けると、自分のことのように目頭を熱くする仲間もいた。きっと山口がしてきたたゆまぬ努力を隣で見てきたからだろう。
会見が始まる前に、両親の元へ駆け寄った。そのまま会見に臨んだが涙が止まらなかった。その涙の理由は「感謝してる人が多くて…その期待に応えることができた気持ちが多くて…」とまた涙。言葉を詰まらせながら答えた。
「甲子園に連れて行けなくて…いい経験をして次の代につなぐこともできなかったけど、このドラフトで勇気づけたいという気持ちがあった。チームとしても活気が出て良かったんじゃないかなと思います」。常に注がれる周りへ思いやりの言葉に、彼の純朴で優しい人柄が垣間見えた。
胴上げが終わり、少し静まったホールで須江監督から部員へ一言。「本人の3年間の努力、家族の支え、仲間とのライバルとして励み合う姿勢、その全てのたまもの。ここにいる誰かひとりでも欠けていたら今日の山口の3位はないのかもしれない」とたたえながら、現チームの選手たちの背中も押した。
あの運命の日は山口本人はもちろん、携わった仲間にとっても転機となったかけがえのない日。名前を呼ばれた瞬間のことを忘れずに、置かれた場所は違えど変わらず仲間とも刺激し合いながら、1歩ずつ夢の舞台へ向け歩んでいく姿を見せて欲しいと願う。【高橋香奈】