巨人菅野智之(2024年10月21日撮影)

シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会が28日、開かれる。午後1時過ぎには受賞者が発表される見込みだが、今年は近年にない混戦になるかもしれない。

沢村賞には7つの基準が定められている。

(1)15勝以上の勝利数

(2)150以上の奪三振数

(3)10以上の完投試合数

(4)2・50以下の防御率

(5)200イニング以上の投球回数

(6)25以上の登板数

(7)6割以上の勝率

21年から昨季まで3年連続で輝いた山本由伸(オリックス)は、21、22年は5項目、23年は4項目をクリア。対抗候補がいた年もあったが、本命候補として選出される年が続いた。他を圧倒する成績を残しており、順当な選出だった。

その山本が米球界に移った今季は、絶対的な本命がいない状況だ。7基準全てをクリアしている投手はいない。基準別に挙げると、クリアした投手は次のおとりだ。

(1)15勝:巨人菅野

(2)150奪三振:巨人戸郷、西武今井、日本ハム伊藤、楽天早川、ソフトバンク・モイネロ、西武隅田

(3)10完投:なし

(4)防御率2・50:中日高橋宏、巨人菅野、阪神才木、広島大瀬良、巨人戸郷、DeNA東、広島床田、ソフトバンク・モイネロ、西武武内、西武今井、ソフトバンク有原

(5)200イニング:なし

(6)25登板:巨人戸郷、DeNA東、広島床田、阪神才木、広島大瀬良、DeNAジャクソン、日本ハム加藤貴、ソフトバンク有原、日本ハム伊藤、西武隅田、ソフトバンク・モイネロ、西武今井、楽天早川、ロッテ小島

(7)勝率6割:巨人菅野、阪神才木、DeNA東、中日高橋宏、巨人山崎伊、阪神大竹、巨人戸郷、日本ハム伊藤、ソフトバンク・モイネロ、ソフトバンク有原、楽天早川、西武武内、日本ハム山崎

防御率、登板数、勝率はクリアした投手が多いが、勝利勝は1人だけ。完投、イニング数は0人だ。

クリアした基準の数で見ると、最多は巨人戸郷、ソフトバンク・モイネロの4つ(ともに奪三振、防御率、登板数、勝率)。ただ、戸郷は12勝、モイネロは11勝で、どちらもリーグ4位タイにとどまった。

両リーグで唯一、15勝をクリアした巨人菅野は、防御率、勝率と合わせて3つクリア。登板数24は、基準にわずか1足りなかっただけで、戸郷、モイネロに匹敵する評価を受けてもおかしくない。

日本ハム伊藤も3つクリアだが、14勝は1勝及ばなかっただけ。防御率2・65も惜しかった。

ソフトバンク有原も3つクリアで、勝利数は1勝足りなかっただけ。リーグトップの投球回182回2/3をどう評価かするか。

DeNA東も3つクリアで、投球回183は両リーグトップだ。

候補選手は多数いても、絶対的な本命は不在と言えそうだ。最近では、19年が「該当者なし」だった。果たして、今年はどうなるか。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【沢村賞】今季は絶対的な本命不在か 昨季までは山本由伸が3年連続、19年は該当者なし