ドジャース対ヤンキース 6回表ヤンキース2死、空振り三振に倒れるジャッジ。投手山本(撮影・菅敏)

<ワールドシリーズ:ドジャース4-2ヤンキース>◇第2戦◇26日(日本時間27日)◇ドジャースタジアム

【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)26日(日本時間27日)=四竈衛】ドジャース山本由伸投手(26)が、ド軍連勝の立役者となった。ヤンキースとのワールドシリーズ(WS)第2戦に先発し、7回途中までソロ本塁打による1安打1失点に封じる快投を演じた。WSで日本人の勝利投手は、07年の松坂大輔(レッドソックス)以来2人目。メッツ、ヤ軍と昨オフの移籍交渉で最終候補に残った両軍をポストシーズン(PS)で続々と撃破し、あらためて全米中にその名を知らしめた。

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責務をほぼ完璧に全うし、三塁側ダッグアウトへゆっくりと歩を進める山本を、地元ファンは総立ちの拍手で出迎えた。破壊力抜群のヤ軍相手に、わずか86球で7回途中まで1失点。文句なしのプレートさばきに、「YOSHIコール」が自然発生的にわき起こるほど、だれもが「新エース」の快投をたたえた。試合後の山本は「高さ、コース、細かいところまで意識して投球できた」と分析。「しっかりストライクゾーンで勝負できた」と納得の表情を浮かべた。

メジャー1年目で向かったWSの先発マウンド。「すごくうれしさもありました。とはいえ、試合が始まるに向けて集中していました」。心地よい高揚感を覚える一方、3回までは打者12人に対し、初球ストライクは4回のみ。2四球とボールが先行した。それでも、フォームのタイミングに工夫を凝らしつつ、3回2死以降は11打者連続凡退。コーチ、捕手スミスが一度もマウンドへ向かう必要のない、圧倒的な内容だった。「いろいろと、試行錯誤しながら何とか抑えられたと思います」。6回2死からジャッジを空振り三振に仕留めた直後には、腹の底からほえた。沈着さと気迫を絶妙なバランスで制御し、重圧を跳ね返した。

昨オフ、メジャー移籍交渉の際には、ヤ軍、メッツからも好条件の提示を受け、期限ギリギリまで悩み抜いた。だが、直前に移籍が決定していた大谷の誘いもあり、ド軍入りを決断。一緒に世界一を目指す覚悟を決めた。公式戦では長期離脱を経験したものの、PSでは、図らずも断りを入れたメ軍、ヤ軍を立て続けに抑え込む好投で、自らの決断の正しさを実証した。

降板後のベンチでは、ロバーツ監督とはハグ、大谷からはハイタッチでねぎらいを受けた。「少しホッとしたじゃないですけど、集中している状態からリラックスと言いますか…。そういった気持ちになりました」。12年契約の1年目。大舞台で快投を演じた山本は、間違いなく、常勝球団の「新エース」として新たな1歩を踏み出した。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 山本由伸、日本人で松坂大輔以来のWS勝利投手 新エースに「YOSHIコール」わき起こる