DeNA対ソフトバンク 2回表ソフトバンク2死満塁、先制の右2点適時打を放つ有原。投手ジャクソン(撮影・鈴木みどり)

<日本シリーズ:DeNA3-5ソフトバンク>◇第1戦◇26日◇横浜

鷹の大黒柱が頂上決戦で“二刀流”を演じた! 「SMBC 日本シリーズ2024」が横浜で開幕。パ・リーグ王者のソフトバンクがセ・リーグ3位でCSを勝ち上がったDeNAを相手に貫禄の白星発進を決めた。

先発した有原航平投手(32)が7回を4安打無失点の好投。打っては9番で0-0の2回2死満塁から値千金の2点適時打を放った。同シリーズで投手の決勝打は南海時代を含めて球団史上初の快挙だ。背番号17が投げて、打ってと大舞台で投打躍動だった。

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敵地ハマスタがどよめく。バットを振り抜き、有原が無心で一塁を駆け抜けた。「まさか打てるとは…。こういう試合で打てたので、本当に奇跡です」。自らのバットで先制&決勝タイムリーをマーク。普段はクールな男が珍しく余韻に浸った。

野手顔負けの勝負強さだ。0-0で迎えた2回2死満塁。この先制機の場面で右打席に入った。「何とかしようと」。カウント1-1からの3球目。外角寄りの153キロ直球にバットを出した。「とにかくバットに当たれと思って」。打球は一、二塁間を抜けていく。パの先発投手で慣れない打撃で値千金の1本。意外な一打に自軍ベンチもお祭り騒ぎ。驚き、興奮を隠しきれなかった。「全然、何打ったか覚えていない感じ。(打撃)練習もしていないですし、来た球を何とかしようと思ってた」。一心不乱で食らいつき、投手が日本シリーズでの決勝打は南海時代を含めて球団初。快挙のおまけつきだった。

投げては先発で7回を4安打無失点。カットボールが要所でさえ、連打は1度も許さず。今季14勝で最多勝のタイトルを獲得した実績通りの内容だった。「粘り強く投げられたと思う。うまくコントロールできた」。マウンド上でも貫禄ぶりを示した。自身にとっては日本シリーズ初勝利だ。

経験豊富な右腕は後輩の手本でもある。自ら若手に歩み寄ってはアドバイスを送ることも。トレーニング方法の相談に乗り、気遣いを見せる一面も持つ。今季は開幕投手を務め、CS、日本シリーズと短期決戦も先陣を切って負けなしだ。背番号17を誰もがエースと認める。「小久保監督にそういうところで投げさせてもらっている。その期待に応えられてすごくうれしいです」。セ・パ頂上決戦でも、その肩書を再認識させる堂々の立ち姿だった。【佐藤究】

▶先発投手の有原が2回に先制適時打を放ってシリーズ初勝利。シリーズで投手のV打は86年<5>戦工藤(西武)以来6人、9度目で、<1>戦は初めて。先発投手では67年<4>戦足立(阪急)73年<3>戦堀内(巨人)に次いで51年ぶり3人目。有原はこれがシリーズ初打席(登板は2試合目)で、投手の初打席V打はシリーズ史上初めてになる。今季の有原は公式戦、CS、シリーズとすべてチーム初戦に先発し白星。同一年の公式戦とシリーズの両方で開幕戦先発勝利は01年石井一(ヤクルト)以来10人、11度目となり、「公式戦+プレーオフ・CS+シリーズ」のすべて開幕戦先発勝利は77年山田(阪急)以来2人目だ。

◆有原の打撃 広陵時代は3年春夏の甲子園で通算19打数3安打(打率1割5分8厘)、本塁打なし、1打点。早大では東京6大学リーグで通算90打数20安打(2割2分2厘)、1本塁打、6打点。3年春に関谷(明大)から本塁打。プロでは公式戦通算16打数2安打(1割2分5厘)で、本塁打と打点はなかった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ソフトバンク】有原航平が頂上決戦で“二刀流”!打ってV打、投げて7回0封「本当奇跡です」