東北公益文科大対富士大 3回裏富士大1死、中前二塁打を放つ麦谷(撮影・木村有優)

<明治神宮野球大会東北代表決定戦:富士大10-2東北公益文科大>◇26日◇準決勝◇福島・ヨークいわきスタジアム>

24日のドラフト会議で育成含めて6人が指名された富士大(北東北大学)が、東北公益文科大(南東北大学)を10-2で破り、2年連続の本戦出場に王手をかけた。2-2の3回1死からオリックス1位の麦谷祐介外野手(4年=大崎中央)が俊足を生かして中前への二塁打でチャンスをつくると、2死三塁から広島4位の4番渡辺悠斗内野手(4年=堀越)の左越え適時二塁打で勝ち越した。仙台大(仙台6大学)は東日本国際大(南東北大学野球)に5-0で勝利した。

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1番の武器が輝きを放った。2-2の3回1死。麦谷が放った中前への打球は誰もが単打だと確信。だがこの男だけは違った。「相手のシートノックで外野が下がっていたので、打った瞬間に『いこう』と決めていた」。スピードを緩めることなく、二塁打としてチャンスメークした。試合を視察したオリックス岡崎大輔スカウトも「打った瞬間から(次の塁を)狙っているんですよね…。これは教えられるものではないし、(麦谷の)一番良いところ」と称賛した。

ドラフト会議の歓喜の瞬間から2日後。麦谷にとっていまだに実感が湧かない理由のひとつは今大会にある。富士大への進学理由でもあった「全国制覇」を達成出来ず、ラストチャンスを迎えている。ここで終わるわけにはいかない。「先のことは見ず、まずは決勝を勝ちきりたい」と意気込んだ。

麦谷がつくったチャンスから2死三塁として、広島4位の渡辺悠が勝ち越し打を放った。ドラフト前、最後のアピールチャンスでもあった今秋リーグ戦。「欲が出てしまい、自分本位になっていた」と反省。夢への出発点に立った今。「チームが勝つためのバッティングをしたいです」と気持ちを新たに4番としての覚悟を示した。

ドラフトでは同大最多の6人が指名される快挙を果たした。2日後に迫る今大会を前にミーティングで安田慎太郎監督(39)は「(ドラフトに)かかったから勝てるという錯覚を起こさないでほしい。うまくなったわけでも、下手になったわけでもない」と伝えた。全ては目標とする全国制覇のため。チーム内の方向性をいま一度、明確にして今大会に臨んだ。それぞれが新天地で輝くために-。今日27日の決勝を勝ち抜き、その先にある「日本一」を成し遂げ花道を飾る。【木村有優】

○…ロッテ育成3位の富士大・長島幸佑投手(4年=佐野日大)が先発し、3回4奪三振2失点。初回に2点を許すも、その後2回を無失点に抑えた。ロッテ柳沼強スカウトは「初回は失点しましたけど、それ以降は持ち味を出せてたと思います。最初から出力を出せるようになれば…」と口にした。巨人育成1位の坂本達也捕手(4年=博多工)は2安打1打点の活躍をみせた。

○…「4番一塁」の富士大・渡辺悠は捕手としてもプレーする。試合を視察した広島・近藤芳久スカウトは「キャッチャーができると代打でもつかえるのでやらせたいですね。ファースト、あとはサードもできたら出場の幅が広がるので…」と、さらなる可能性を秘める強打者に期待を寄せた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 ドラフト6人指名の富士大、オリックス1位麦谷祐介がチャンス作り、広島4位渡辺悠斗勝ち越し打