ヤクルトに1位指名されチームメートに肩車される愛知工大・中村(撮影・柏原誠)

<プロ野球ドラフト会議>◇24日

愛知工大・中村優斗投手(4年=諫早農)が、いの一番で交渉権確定の瞬間を迎えた。ヤクルトが1位で単独入札した。

愛知県豊田市の大学キャンパスで、同僚らに見守られながら指名を待った。名前を読み上げられると、大きな歓声が沸いたが、中村は表情を少し緩めただけ。「あまり表情に出さないようにと決めていた」。涙するチームメートもいたが、本人はこみ上げるものもなく「これから頑張らないといけないと思った」と表情を引き締めた。

今年3月に侍ジャパンに抜てきされ、欧州代表を相手に1回無失点。ドラフト1位の有力候補に名乗りをあげたが、その後不振に陥った。何とか調子を持ち直して、大学最後の試合となった21日のリーグ戦でついに大台突破の160キロを計測した。当日まで各球団の評価がはっきりとせず、第一声で「ほっとしているという気持ちが大きいです」と本音を漏らした。

「ドラフト1位を大学4年間の目標にしてきたので、頑張ってきたという達成感がありました。仲間が泣いてくれているのを見て、プロで結果を残して仲間に恩返しをしないといけないなと思いました」と笑みを浮かべた。

長崎の公立校で野球をしていたが新型コロナ禍もあって、本格的な野球は辞めて、県庁への就職を考えていた。だが中村のポテンシャルを知り合いづてに聞いた元ロッテ平井光親監督(57)が3度も愛知から諫早に通って口説き、「不完全燃焼だった」右腕の心を動かした。4年後のプロ入りを2人で目標に掲げ、大願成就を果たした。

ヤクルトには好印象がある。「ファンが熱いというイメージ。石川雅規さんのように長くプレーできる選手になりたい。侍ジャパンでご一緒した村上宗隆さんは人間性が素晴らしかった。誰よりも声を出して、引っ張っていた。一緒のチームでできるのが、すごくうれしいです」と希望に胸をふくらませた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ドラフト】ヤクルト1位の最速160キロ愛知工大・中村優斗「プロで結果を残して仲間に恩返し」