吉報を待つ青森大・哘崎(撮影・木村有優)

プロ野球ドラフト会議が今日24日、東京都内のホテル(午後4時50分開始)で行われる。東北のドラフト候補選手紹介の最終回は、今夏甲子園出場の聖光学院・高野結羽(3年)、異色の経歴を持つ青森大・哘崎新(さそざき・しん、4年=青森山田)、侍ジャパンU23代表にも選出されたTDK・佐藤亜蓮(23=仙台大)の3投手。ドラフトへのそれぞれの思いに迫る。【浜本神威、木村有優】

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最速150キロ右腕の青森大・哘崎は、落差の大きいフォークボールが武器だ。入学直後に、慢性的な右肘の痛みから退部を選択。その後、同大東京キャンパスに転籍。「プロ入り」を目標に、都内のトレーニング施設などで技術向上やリハビリを行った。だが、施設利用には料金がかかり、わずか2、3球のボールで練習するなど厳しさにも直面した。

文部科学省の規定で、東京23区内に所在する地方キャンパスへの在籍は2年に定められている。この期限を迎える直前、同大理事長から「野球部に戻ってこないか」と連絡を受けた。一度は辞める選択をした哘崎。「本当に申し訳ない気持ちが大きくて…」と葛藤もするも「それを挽回する気持ちでした」と再入部を決意。この2年間でけがも完治。万全な状態で最後まで駆け抜けた。

感謝を胸に吉報を待つ。「この環境が当たり前じゃないと思えましたし、チームのみんなやスタッフ、家族のおかげで今の自分がいるので、そこに気付けたことが一番大きかったです」。異色の4年間だったが悔いはない。プロの舞台で活躍し、恩返しする日を心待ちにする。

◆哘崎新(さそざき・しん)2002年4月11日生まれ、青森県七戸町出身。小学2年時に天間西ジャイアンツで野球を始め、青森山田シニア、青森山田を経て青森大に進学。退部や転籍を経験し、3年春に野球部に再入部。今春リーグ戦で公式戦デビューし、今秋は5試合に登板して計10回で防御率2・70。182センチ、80キロ。右投げ右打ち。憧れの野球選手はダルビッシュ有。趣味は釣り。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【東北ドラフト候補紹介】退部→転籍→再入部の異色の4年間 青森大150キロ右腕・哘崎新の恩返し