ヤンキースのアーロン・ジャッジ(2024年7月15日撮影)

さあ、大谷が主演の「スター・ウォーズ」が開演だ。米大リーグの頂上決戦ワールドシリーズ(WS)が、25日(日本時間26日)にロサンゼルスのドジャースタジアムで開幕する。大谷翔平投手(30)らMVPトリオを擁するナ・リーグ王者ドジャースに対するのは、ア・リーグ東地区に君臨し、スターをそろえて「悪の帝国」とも呼ばれる名門ヤンキース。第1戦先発のゲリット・コール(34)は元球界最高年俸投手。剛腕打ちで、打線に勢いをつける。

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世界一を目指す大谷に、まず立ちはだかるのが、昨季のサイ・ヤング賞右腕コールだ。今季は右肘の違和感で出遅れたが、6月に復帰し8勝。ポストシーズン(PS)でも3試合に登板し1勝、防御率3・31。WSを前に、エースとしての立ち位置に戻ってきた。

大谷と山本には因縁がある。大谷はエンゼルス時代の22年8月31日、コールから2年連続の30号を放った。しかも2点差を逆転する3ラン。強烈な印象を与えた。最多奪三振2度の剛腕に、初対戦した18年には「いくら払ってでも経験する価値のあることなのかな」と話した。山本は12年総額3億2500万ドル(約471億円)でドジャースと契約したが、コールの9年3億2400万ドル(約470億円)をわずかに抜く、投手最高年俸となった。

ヤンキースは、打線もそうそうたる顔ぶれが並ぶ。MVPトリオを擁するドジャースとの対比で、ニューヨークポスト紙は今WSを「スター・ウォーズ」と命名した。毎年のように金満補強をするため、03年に同地区のライバル・レッドソックスのルキーノ社長が「悪の帝国」と呼び、米球界では定着する。今季開幕時、選手の平均年俸はヤ軍が30球団中2位、ド軍が3位だった(1位はメッツ)。

主砲ジャッジは今季58本塁打。大谷と同じく本塁打王を獲得し、2度目のア・リーグMVPが確実だ。WSの本塁打王対決は56年マントル(ヤンキース)とスナイダー(ドジャース)以来68年ぶり6度目。50本塁打以上の対決は初となる。MVPは来月発表だが、両リーグMVPの激突は12年(ジャイアンツ・ポージーとタイガース・カブレラ)の以来12年ぶりとなる。

ジャッジの前後も豪華だ。2番ソトは今季リーグ3位の41本塁打で、通算出塁率4割2分1厘。今オフはFAでの争奪戦が確実で、25歳の「若き天才打者」として知られる。ボールを見逃した際に行う大股開きの「ソト・シャッフル」も注目だ。4番スタントンは現役最多の429本塁打。今PSでは5本塁打でリーグ優勝決定シリーズMVP。ジャッジだけに集中すると、前後で痛い目に遭う。

5番チザムは今季40盗塁のスピードスターだが、24本塁打の長打力も併せ持つ。MLBきってのおしゃれ番長で、23年はテレビゲーム「MLB The Show」で大谷を抑えて表紙を飾った。ラッパーのような服の着こなしや本塁打時のステップも大都市ニューヨークに映える。2年目の遊撃ボルピはジーターの再来として目される逸材。昨季は新人ながらゴールドグラブ賞と守備面でチームを支える。大谷が対する悪の帝国は、多士済々だ。【斎藤直樹】

○…東西きっての人気球団の対決に、ワールドシリーズのチケットが高騰している。地元紙ロサンゼルスタイムズ紙は、入手困難さを「テイラー・スフィフトばりの価格」と人気歌手のコンサート級だと伝えた。オンライン再販サイトでは最低でも1326ドル(約19万2000円)となっている。再販サイト「スタブハブ」は、開幕前だが既にレンジャーズ-ダイヤモンドバックスだった昨年WSの売上を超えているという。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 大谷翔平、ヤンキース・コール打ち勢いつける ジャッジ、ソト、スタントン…相手はスターぞろい