巨人対DeNA 3勝3敗に持ち込みスタンドにあいさつする巨人阿部監督(撮影・浅見桂子)

<セ・CSファイナルステージ:巨人1-0DeNA>◇第5戦◇20日◇東京ドーム

巨人が崖っぷちから連勝で逆王手をかけた。「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第5戦で、DeNAに1得点完封勝ちで競り勝った。わずか3安打も、中山礼都内野手(22)のプロ1号決勝弾を守り抜いた。阿部慎之助監督(45)は21日の最終決戦では菅野、グリフィンをブルペン待機させ、守護神大勢の4連投も辞さない構えを示した。

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阿部監督が逆風を押し返した。1点リードの9回、守護神大勢を3連投で送り込んだ。1死から連続四死球で一、二塁のピンチを招いた。マスク越しの岸田とサインを交換した。宮崎には2ボールから4球連続の直球を押し込み、最後はフォークで空振り三振。代打筒香にはストライクゾーンの低めに落としたフォークで中飛。虎の子の1点を守り切った。

「ずっとこういう展開でシーズンも勝ってきた。この勝ち方じゃないと勝てないのかなっていうね。本当に最高のゲームだったし、明日に必ずつながると思います」

緊迫する展開でピンチの連続をじっと耐えた。7回1死、左翼手オコエが打球を後逸(記録は三塁打)。続く森敬の打球を遊撃手門脇が、抜群のハンドリングと素早い送球で本塁タッチアウト。8回無死一塁では、代打蝦名のバントを途中出場の三塁手増田大が好フィールディングで併殺に仕留めた。「もう素晴らしいプレーをしてくれて、あの2つ(の守備)で勝ったようなもの」と最敬礼でたたえた。

CS前に短期決戦の心得を問われ少し考えてから言った。「流れを見逃さずに読むこと。ベンチからはそこだけかな」と備えた。12年のCSファイナルは中日に3連敗からの3連勝(1勝のアドバンテージ)で逆転突破し、日本一まで上り詰めた。当時、3戦目の試合後に気晴らしにと食事に出かけたが首都高で事故渋滞に巻き込まれた。後部座席のモニターに映し出された敗戦を伝えるニュースにもいら立ち、感情のままにシートを蹴り上げた。

あれから12年。日本一から遠ざかる間に、現役を引退し、2軍監督、1軍コーチを経て、今季から監督として指揮を執る。鬼軍曹から様変わりし、リーグ優勝時は人目をはばからず涙を流した。「本当に強いチームだと言われるためには明日、勝つことしかないから。それだけです」と阿部監督。ソフトバンクとの日本シリーズ出場権まで、あと1勝だ。【為田聡史】

▼中山2本、坂本1本の3安打だった巨人が1-0で逃げ切り、3勝3敗のタイに戻した。プレーオフ、CSの1-0勝利は10度目で、3安打は18年ファイナルS第2戦広島以来4度目の最少安打勝利。2人しか安打を打たずに勝ったのは初めてだ。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSの逆王手は14年日本ハム以来9度目で、セ・リーグでは12年巨人に次いで2度目。逆王手から連勝で日本シリーズに出場は77年阪急、10年ロッテ、12年巨人の3度だが、今回の結果は?

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【巨人】阿部監督「この勝ち方じゃないと勝てないのかな」ピンチ耐え好守で流れ呼び日本S逆王手