巨人対DeNA 5回裏巨人無死、中山は先制ソロ本塁打を放ち笑顔でナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)

<セ・CSファイナルステージ:巨人1-0DeNA>◇第5戦◇20日◇東京ドーム

巨人中山礼都内野手(22)が最高の“プロ初アーチ”をぶちかました。5回に先頭打者で右翼へ先制&決勝ソロを放った。レギュラーシーズンでも本塁打はない4年目。「7番二塁」でスタメン出場し、チーム唯一の1点を一振りで生み出した。左脇腹痛でベンチから戦況を見守る吉川尚輝内野手(29)の代役して、ヒーローになった。

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今までレギュラーシーズンで1本も本塁打はない。その中山が1発で試合を動かした。5回先頭、DeNA山崎の147キロ直球をフルスイングした。両手には最高の感触が残る中、打球の行方を見つめた。巨人ファンで埋まる右翼席に飛び込むと、右腕を高々と突き上げた。「先頭打者だったのでつなぐことだけを考えていました。積極的にスイングをかけた結果がホームランになって最高です」と先制点を導いた。

二塁手で全試合スタメン出場の吉川が左脇腹痛でベンチから戦況を見守る状況だった。吉川とはロッカーも隣で野球論やプライベートな話も交わす。昨季はネックレスをもらい、プレーする時も身に着けていた。「(吉川)尚輝さんがいなかったからという風に言われないように。自分のやるべきことを100%出せるようにしっかり準備していきたい」と臨んだCSファイナル。代役が最高の仕事を成し遂げた。

直球を捉えたのも成長の証しであり、準備のたまものだった。次打者席、イニング間にも夏前と違う姿がある。投球モーションに合わせ、常にタイミングを取る意識を持つ。「今までは漠然と始動を早くと考えていたのですが、ボールの1個、2個刺されてファウルになりやすかった」。今季イースタン・リーグでは3割3分2厘だったが、1軍では8月まで打率1割5分。1軍の投手に直球に押し込まれる課題に向き合った。1軍再昇格した9月7日DeNA戦では9回2死から同点打を放つなど9、10月は1軍で打率4割5分8厘と、まるで別人だった。

中日高橋宏は中京大中京の同級生だった。その今季最優秀防御率を獲得した右腕が、偶然にもテレビ解説で東京ドームで見つめていた。仲間であり、プロの世界では先に進むライバルの結果に刺激を受けてきた。「将来的には一緒にもっと上のレベルで同じ舞台で戦いたい」と成長の原動力にしてきた。大舞台で躍動した。【上田悠太】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【巨人】中山礼都“プロ1号”がV弾「つなぐことだけ」吉川代役がヒーローに 崖っぷちから逆王手