今秋ドラフト候補の横浜・椎木卿五捕手

プロ野球ドラフト会議が24日に行われる。プロ志望届を提出した選手、ドラフト指名を待つ選手。吉報を待つグラウンドに、日刊スポーツの記者が思いを尋ねに向かった。

   ◇   ◇   ◇    

横浜(神奈川)の椎木卿五捕手(3年)の偉業は、偉業なのにドラフト会議が直前になった今もあまり、全国の高校野球ファンに認知されていない。

夏の神奈川大会決勝、東海大相模戦でサイクル安打を達成した。

「個人の結果としてはもう、これ以上ないじゃないですけど、それくらいやりきったと思っています。でもやっぱり…」

試合に負けて甲子園には行けなかった。「チームの勝利につながらなかったので。キャッチャーとして、ああすれば良かったって思うところもありますし。後輩投手にももっとアドバイスできたかもしれないですし。悔しいです」。気持ちはまだほんの少しだけ、横浜スタジアムに置き去りのままだ。

サイクル安打にはもちろん本塁打もあり、このドラフトで上位指名候補に挙がる東海大相模・藤田琉生投手(3年)から放ったものだ。198センチ左腕で、希少な角度からの140キロ台は難攻不落とされた。それでも低めを流し、右翼席へとたたき込んだ。高校通算19号だった。

「春の大会でも逆方向にいい当たりを打ったんですけど、ギリギリで切れてしまって。それが悔しくて、もう一度やってやろうとずっと思ってて。そのイメージとバッティングがすり合わさった感じですね」

村田浩明監督(38)からは「プレーに集中できるように」と5月中に主将を外された。プロ入りの夢も含めて“結果”への重責がのしかかる夏に、しっかりと答えを出してみせた。

大一番で強豪校からサイクル安打をやってのけた技量に、複数球団から調査書も届いている。高校生捕手ではセンバツ優勝の健大高崎(群馬)・箱山遥人捕手(3年)の存在が目立つが、椎木は「スキルは負けてないな、と思ってます」と胸を張る。「でも箱山君のキャプテンシーはすごいなと思って見ていました」とも率直に口に出す。

何が足りないかを見つめながら、秋を過ごす。プロ球団の面談でも「プロで活躍するためには、自分の思っている以上のものを出さないとやっていけない」と現実を教えられた。「もう一段階ギアを上げてやってやろう、とあらためて思いました」。

父はロッテなどで捕手としてプレーした椎木匠氏(53)。1年前には2世選手としての名が先行した。季節は巡り、十分にたくましくなった。“打てる捕手、椎木卿五”として10・24を待つ。【金子真仁】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ドラフト吉報待つ】横浜・椎木卿五は決勝の東海大相模戦で大記録マーク 重圧の夏に出し切った