勝利の喜びを分かち合う青森山田ナインら=2024年10月19日

<秋季高校野球東北大会:青森山田4-1花巻東>◇19日◇準決勝◇福島・ヨークいわきスタジアム

青森山田(青森1位)が花巻東(岩手2位)に4-1で勝利し決勝進出を決め、来春のセンバツ出場を確実にした。継続試合となっていたため、1回表無死、カウント2-2から花巻東の攻撃で再開。青森山田は平沢亮河捕手が2回、スクイズを決めて先制点をもたらすと、7回には右前適時打。守備では乕谷(とらたに)朔ノ助、菊池統磨、下山大昴投手(いずれも2年)の3投手を好リードした。東北地区の来春センバツの一般選考枠は3校で、青森山田は3季連続の甲子園が濃厚となった。20日の決勝では秋季東北大会連覇をかけて、聖光学院(福島1位)と対戦する。

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ベンチの期待に、平沢がしっかり応えた。両チーム無得点の2回1死一、三塁。サインはスクイズ。投手前に転がして、先制点をもたらした。2点リードの7回2死二塁では、打席に向かおうとすると、背番号12の船橋麗人捕手(2年)が伝令で駆け寄ってきた。「俺が出てないんだから、お前が弱気なスイングしたら俺は気持ちよくないぞ」。仲間の力強い言葉に奮い立ち、右前適時打。2打点で甲子園をぐっとたぐり寄せ「ああいう試合展開で先制点がとれたのは大きかった」と安堵(あんど)した。

守備でも貢献した。今や青森山田のスタイルとして確立されてきた乕谷-菊池統-下山の投手3本柱の継投策を1失点でまとめた。「ピッチャーがしっかり丁寧に投げてくれた」と、3投手をたたえた。

それぞれの良さを引き出すことを心がけてリードする。制球力がありテンポの良さから試合をつくれると先発に起用されている乕谷の鍵は「立ち上がり」。ベンチでは「いつも通り来い」と、緊張をほぐす声がけをする。菊池統と下山には「安定して頼りがいがある」と称賛しつつも、強気の投球が前のめりになりすぎるときには「落ち着け」と、なだめることも忘れない。

練習中からも気を配る。「常にライバル意識があって、練習するにもバチバチで」と、ブルペンからお互いの球速や球の状態を意見し合う場面に出くわすが、捕手として冷静に対処する。「仲を取り持つのが、気を使うっていうか、難しいっていうか…でも、何でも言い合える、いい仲間関係です」。中和剤のように見守りながら、3投手のレベルアップを高めている。

来春のセンバツ出場に当確ランプをともし、2年連続の秋の東北王者を目指して決勝の舞台に臨む。「打撃もしっかり、無失点で抑える」。背番号2が扇の要として、攻守でチームを支える。【高橋香奈】

花巻東 3年ぶりの決勝まで、あと1歩及ばなかった。2回に三ゴロを後逸して適時失策した4番古城大翔内野手(1年)は、2安打を放ちながらも「自分で終わってしまったら…」と打席で受け身になったことを反省した。ただ、今大会では秋田商(秋田1位)戦で6打点をあげた打撃の感覚、鶴岡東(山形1位)戦でのチームの一体感と、収穫もあった。「守備でも打撃でも集中力を欠かさず、どんなに簡単な場面やチャンスでもしっかり守り、結果を出したい」と誓った。来春センバツの東北3枠目の切符は、山形県大会3位から東北大会4強入りした山形中央と争うことになりそうだ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 青森山田センバツ出場確実、平沢亮河が先制打&好リード「しっかり丁寧に投げてくれた」