京都対鳥栖 京都に敗れ、うつむく鳥栖原田(左から2人目)ら(撮影・前田充)

<明治安田J1:京都2-0鳥栖>◇第34節◇19日◇サンガS

最下位のサガン鳥栖が、退場で1人少ない京都に0-2で完敗してJ2降格が決まった。17位京都、16位柏、15位湘南がそろって勝ち点を挙げたことで、残り4戦全勝しても残留圏の17位に届かなくなった。J1に初昇格した12年から13シーズン。資金難に苦しみ、毎年のように降格候補に挙げられながらもJ1で泥臭く戦い続けてきた地方クラブの雄が、ついに力尽きた。

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10人相手に完敗した。終戦の笛に選手は下を向き、サポーターは涙で顔を覆った。残留を託された木谷監督は就任から9戦勝ちなしでの降格に「必要なのは勝ち点3だったので厳しい結果になった。自分の責任です」とうなだれた。

開始10分で相手GK退場でも負けた。ボール支配率で圧倒も、攻守のバランスが悪く決定機がこない。後半20分、相手のシュートがDF山崎の足に当たってコースが変わる不運な形で失点。反撃の力なく、終了間際に追加点を奪われた。

J1昇格初年度にクラブ最高5位と旋風を起こした。だが近年の資金難もあって毎年主力が流出。21年には当時の監督のパワハラが問題となった。その後を受けた川井監督が踏ん張ってきたが、就任3年目の今年8月に解任。鳥栖DF出身の新指揮官就任もカンフル剤にはならなかった。

昨年度の営業収入はJ1最下位の約25億円、チーム人件費は下から2番目の約10億円。約1億6000万円の債務超過も抱える。クラブライセンス剥奪をさけるために25年度中の債務超過解消を目指すが、J2降格でスポンサー収入、入場料収入の減少は避けられず巻き返しは簡単ではない。

過去には大分が09年のJ2降格で、経営難の影響から資金繰りが悪化し、クラブ消滅危機に陥った。鳥栖は同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。

◆クラブライセンス リーグ戦に参加するための資格要件。施設基準、財務基準などの審査基準が設けられ、25年シーズンはJ1が49クラブ、J2が11クラブに交付された。23年度はコロナ禍に対する特例措置の期間に当たるため、債務超過でもクラブライセンスの判定対象とはならない。24年度からは債務超過額の増加と3期連続赤字は許されず、債務超過は25年度中の解消が求められる。23年度の鳥栖の債務超過は1億5864万円だった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【鳥栖】債務超過解消目指すも降格決定…ついに力尽く 昨年度の営業収入はJ1最下位の約25億円