今秋ドラフト候補の山村学園・西川歩投手

プロ野球ドラフト会議が24日に行われる。プロ志望届を提出した選手、ドラフト指名を待つ選手。吉報を待つグラウンドに、日刊スポーツの記者が思いを尋ねに向かった。

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蔵の街が1年で一番熱くなる-。埼玉・川越まつりが19日、20日に開催される。

プロ志望届を提出した山村学園(埼玉)の西川歩投手(3年)は「うちの町会は山車とかなかったんですけど、僕が通った幼稚園には山車があって、みんなで引っ張っていましたね」と懐かしむ。

西川は川越の市街地で生まれ育ち、高校も川越市内の山村学園を選んだ。

「地元から甲子園、行きたくて。応援してくれる人も多いし。そんな川越を元気にしたいなって」

多くの人が川越で電車を降り、平日昼でも駅周辺はにぎやかだ。「小江戸」と呼ばれ、十分に元気に見える。

「川越、元気なんですけど、自分の近所とかはけっこう高齢の方、年配の方も多くて。市立川越が川越商業の名前だった時以来、川越から甲子園ってないので。もっと盛り上げたいから、自分たちが川越から甲子園行きたいなって」

169センチの、他の高校生と比べても割と小さな部類の体を大きく使って、直球は148キロまで伸びた。秋、春、夏と花咲徳栄と対戦し、最後は負けたけれど結果もだんだん良くなった。

「夏は初回の入りだけで。8回まで3安打に抑えられて、(ドラフト上位候補の)石塚君にもある程度は通用することができたので。負けたんですけど、そこは自信になりましたね」

身長を気にする球団もあったものの、調査書は複数球団から届いている。ともにプロ志望届を出した田中大貴外野手(3年)とともに、もし24日に指名されれば、山村学園からは初のプロ野球選手になる。

「ドラフトで呼んでいただいたら初めて、ですよね。初めてになりたいなって、ずっと思っていたので。かっこよくないですか? 初めてって」

あどけなさが残る表情に、しっかりした自我が見え隠れする。

指名されることは、そもそも山村学園から巣立つことは、大好きな川越から離れることを意味する。

「川越で育ってきましたし、おじいちゃんとかも家、近いので。やっぱり寂しさはあります。でもいろいろな人に応援してもらっているし、両親とかにも寂しさを忘れるくらい、テレビに出られるような選手にいつかなりたいです。プロになって活躍できたら、いつだってテレビで見てもらえると思うので」

小江戸から小さな大投手へ-。運命のドラフト会議が近づく。その前に祭りがある。「ちょっとだけ、遊びに行きます」。故郷の熱気を、いつまでも忘れないように。【金子真仁】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ドラフト吉報待つ】山村学園の「小さな大投手」西川歩の小江戸愛 川越まつり味わって巣立つ