鶴岡東対花巻東 7回2死三塁のピンチを、見逃し三振で切り抜け、雄たけびをあげてベンチに戻る花巻東・萬谷(右)(撮影・浜本神威)

<秋季高校野球東北大会:花巻東2-1鶴岡東>◇16日◇準々決勝◇福島・ヨークいわきスタジアム

秋の東北大会4強が出そろった。3年ぶりのセンバツ出場を狙う花巻東(岩手2位)は鶴岡東(山形1位)に2-1で勝利。花巻東の出世番号「17」を背負った1年生左腕・萬谷(まんや)堅心投手が、5安打1失点の高校初完投に同点適時打と、投打で躍動した。青森山田(青森1位)は東日本国際大昌平(福島2位)に4-0で完勝。先発虎谷朔ノ助投手(2年)が3回3安打無失点で流れを呼び込んだ。前日15日の準々決勝2試合では、聖光学院(福島1位)が仙台育英(宮城1位)に3-2、山形中央(山形3位)は日大山形(山形2位)に3-1で勝利した。

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花巻東の新たな「17」が、負けられない戦いで真価を発揮した。萬谷は「とにかく勝ちたい、絶対に『0』に抑えるという気持ちでした」。幾度となく背負ったピンチも、鶴岡東に強気で立ち向かった。

5回に1点を先制され、なおも2死満塁のピンチで、相手を外角直球で見逃し三振に切った。1-1で迎えた7回2死三塁では、カウント2-2から、左打者の外角低めに直球を投げ込み、これまた見逃し三振。左拳を固く握り、雄たけびをあげた。「2年生にとっては最後のセンバツに出るチャンス。勝利に貢献できてうれしかったです」。チームのために、先輩のために腕を振った。

背番号「17」は同校OBで、萬谷の理想とする投手の1人でもあるアストロズ菊池や、ドジャース大谷ら名だたるOBも背負った番号だ。佐々木洋監督(49)は「打っても投げても本当に両方できる。期待を込めて」と、萬谷に「17」を渡した理由を明かした。投げては5安打1失点でチームを勢いづけ、打っては2番打者として、1点を追いかける5回2死三塁で中前へ同点適時打を放つなど2打数2安打1打点。期待通りの結果で応えた萬谷は「そういう期待も背負って、これからにつなげていきたい」と、先輩たちのような飛躍を思い描いた。

次戦は18日、青森山田と対戦する。「この試合でいい勝負ができたんですけど、それは忘れて。次の試合に全員で初回から気持ちを入れてやっていきたい」。期待の1年生左腕は、初完投にも浮かれていない。東北地区の一般枠は3校のため、次戦に勝利すれば、センバツがグッと近づく。「ピッチングに自信を持ってどんどん攻めていきたい」。センバツ切符も自身の活躍も、強気で手繰り寄せる。【浜本神威】

◆花巻東の背番号「17」 アストロズ菊池やドジャース大谷のほか、巨人西舘やスタンフォード大・佐々木ら、この背番号を背負った選手は、その後に大きな飛躍を遂げた。実力と期待の証明とも取れる17番は、今夏の甲子園では現チームで4番に座る古城大翔内野手(1年)が背負い、今秋からは萬谷がつけている。

鶴岡東 先発した杉浦朔投手(2年)は7回1/3を6安打2失点にも「ピンチになった時に抑えることができなかった」と唇をかんだ。県大会を制して臨んだ東北大会だが、準々決勝で敗退。「この悔しさと、今の体じゃ通用しないと分かった」。惜敗から得た収穫を糧に今冬で成長を遂げる。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 花巻東の出世番号「17」萬谷堅心が1失点完投「打っても投げても本当に両方できる」佐々木監督