釧路江南対帯広大谷 4回表釧路江南無死二塁、右中間に適時二塁打を放ち笑顔の宍戸(撮影・黒川智章)

<秋季北海道大会:釧路江南2-1帯広大谷>◇16日◇1回戦◇札幌・大和ハウスプレミストドーム

釧路江南が2-1で帯広大谷を下し、2006年以来18年ぶりに秋季全道大会の初戦を突破した。4回に主将の4番・宍戸瑛太内野手(2年)の右中間適時二塁打で先制し、7回には相手捕逸で1点を追加。エース右腕・佐藤勝輝投手(2年)が、4安打1失点で完投勝利を挙げた。

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釧路江南1点リードの9回2死。中堅に上がった打球を高橋駿斗外野手(2年)がつかむと、マウンドの佐藤は笑顔で右手を振り回した。校歌を歌い終え、応援席の前で顔を上げた瞬間、目から涙があふれ出した。「まだ泣くのは早いぞ!」。スタンドから届いた声に、1失点完投勝利のエースは笑みを取り戻した。

ナインが生まれてもいない06年以来の秋季全道大会の勝ち星を、一心不乱に追い求めた。1年前の釧根地区代表決定戦では、初回に先制しながら別海に逆転負け。その別海が全道4強まで勝ち上がり、21世紀枠でセンバツをつかんだ。楓川(もみじがわ)卓也監督(50)は「別海を超えるように、あの子たちが一生懸命練習した結果が出た試合なのかな」と目を細めた。

中でも1番悔しい思いをしたのは、別海中央中出身の主将・宍戸だった。兄太一さん(19)の後ろ姿を追って釧路江南に入学。下宿生活を始めたが、今春のセンバツに出場した別海の主力メンバー5人が、中学で一緒にプレーした先輩だった。「戒めじゃないですけど、悔しさを忘れないように、別海のセンバツが決定した時の雑誌の表紙を机の上に貼った」という。その思いが、先制の一打につながった。

宍戸の母方の伯父、酒井保幸さんは、旭川大高(現旭川志峯)時代に夏の甲子園に出場。同じく母方のいとこで、北海の小野悠真投手(1年)、吉川哲太内野手(2年)の2人も、センバツで甲子園を経験した。宍戸は「今度は自分たちがベスト4以上に行って、甲子園に行きたい」。2回戦は19年ぶり8強をかけ、遠軽と対戦する。【中島洋尚】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 釧路江南18年ぶり初戦突破 4番宍戸瑛太V打「ベスト4以上に行って、甲子園に」