【日本ハム】水野達稀「ミスをカバーするのが短期決戦」“チルドレン”会心の一打「大航海」は続く
<パ・CSファーストステージ:日本ハム5-2ロッテ>◇第3戦◇14日◇エスコンフィールド
9番打者が決めた。日本ハムはCSファーストステージ第3戦でロッテに逆転勝ちし、2勝1敗で10年ぶりに同ステージを突破した。同点の7回2死一、二塁から、水野達稀内野手(24)が右中間を破る勝ち越しの適時三塁打を放った。今春のキャンプ中に、新庄剛志監督(52)からレギュラーを確約された“チルドレン”の1人が、勝負どころで会心の一打を放った。
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「だ」いこうふんの一打だった。同点の7回2死一、二塁、水野は胸に誓った。「絶対ここで点を取るしかない」。7番上川畑が送りバント失敗で併殺に倒れた直後だった。フルカウントからロッテ先発種市の直球を振り抜き、右中間を深々と破った。「ミスをカバーするのが短期決戦。本当にいい仕事ができた」。殊勲の勝ち越し打。失いかけた流れを、引き戻した。
「い」きおいを感じていた。2点先行されたが、3回に清宮の適時打で振り出しに戻し、本拠地のファンは大熱狂。「逆転しているイメージが今年はあった。負ける気はあんまりしなかったです」。勝利を信じる気持ちが相手を上回った。
「こ」だわりの逸材だ。新庄監督は今季開幕前に、万波と水野のレギュラーを確約した。根拠について指揮官は「渡辺スコアラーとキャンプ中に話をして『逆方向にも、すごい飛ばす力ありますよね』って。『水野は天才よ。彼はやりますよ』って」と説明。ベンチプレスを140キロ上げるという情報を耳にした直後に、長打を連発した姿を見て、ピンときたという。
「う」んきをもたらす9番打者だ。シーズン中は下位打線ながら緊迫した場面で貴重な一打を重ねてきた。「終盤に行けば行くほど自分の中でどこか燃えるところがある」と勝負強い。指揮官同様、生まれながらにピンチを楽しむメンタルが備わっている。
「か」ってかぶとの緒を締める。「1年前はインフルエンザになっていた。クビのプレッシャーもある中で今年のキャンプだった。覚悟って人間大事。ここで負けるわけにはいかない。ボスを日本一にしないといけない」と、パ王者ソフトバンクとのファイナルステージを見据えた。
「い」くだけ、が合言葉。余計なことは気にしない。前だけを向いて“新庄丸”の「だいこうかい」は、まだまだ続く。【永野高輔】