サポーターにあいさつする大宮の選手たち(2020年7月撮影)

<明治安田J3:大宮3-2福島>◇13日◇第32節◇NACK

J3大宮アルディージャはホームで福島ユナイテッドFCと戦い、1年でのJ2復帰を決めた。

10月1日付で株式を100%取得したエナジードリンク事業で成功するレッドブル(本社オーストリア)が来季から経営参画することが決まるなど変革期にある。今季は守備を立て直し、6節を残してサポーターと喜びを分かち合った。

自分たちの手で昇格をつかみ取った。12日にカターレ富山がテゲバジャーロ宮崎に負ければその時点で大宮の昇格が決まったが、1-1のドロー。13日以降に昇格決定が持ち越しとなっていたが、自分たちで決めた。

今季就任した長沢徹監督(56)が守備のてこ入れを図った。シーズンを通してペナルティーエリアの広さでのシュートゲームを行い、ゴール前での守備、さらにはシュートの意識を磨いた。昨季の71失点のうち、32~3点がゴール前でのもろさに由来するものだと分析。「自分らの弱点隠している、逃げているだけ」と指摘。ゴール前で体を張る重要性を体にしみこませた。

今季J1ジュビロ磐田から加入した元日本代表FW杉本健勇(31)は「ボックス内での攻撃も、逆にボックス内での守備もすごく自信になっている」と手応えを口にする。試合前時点でリーグ最小の19失点、最多の57得点につながった。

昨季の鬱憤(うっぷん)をエネルギーに変えた。昨季はJ2で低迷し、クラブ史上初のJ3降格を経験。1年でのJ2復帰は最低条件だった。

長沢監督は「自分たちがどうしても這い上がりたいという意思がそうさせている。内側から出てくるものが彼らの中にあるだけで、僕はもう方向付けするだけ。やるかやらないかはやっぱり選手の問題」と成果のカギを語る。

昨季途中から主力に定着したU-19日本代表DF市原吏音(19)も1年の変化を口にする。「本当に練習が全て出ると思っているので、去年自分はやっていたつもりですけど、まだ足りてなかった。チーム全体も去年よりもっとやらなきゃいけないという雰囲気も出ていて、誰ひとり、手抜くことなくやってることがつながってるかなと思います」と練習強度は比べものにならないほど上がった。

クラブは昇降格を繰り返してきた。04年にJ1昇格を決めると、13年には当時のJ1記録となる21戦無敗を記録するなどして首位にも立った。しかし14年に16位でJ2降格を経験。翌15年にJ2優勝したが、18年からはJ2暮らしが続き、昨季J2で21位に沈んでJ3まで転げ落ちた。

安定感のないクラブは来季からレッドブルが経営参画する。

同社のサッカー部門テクニカルダイレクターの元ドイツ代表FWマリオ・ゴメス氏(39)は、3~4年でのJ1復帰と2030年のタイトル獲得を目標に掲げる。同社はドイツで5部にいたライプチヒを買収し、1部のトップクラブまで押し上げた実績がある。大宮にとっても間近に迫っているJ3優勝も通過点だ。翼を授けられたオレンジ軍団が一気に飛躍する土台を整えた。【佐藤成】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【大宮】1年でJ2復帰決定 レッドブル経営参画でさらなる飛躍期待 長澤徹監督のもと守備安定