久慈対学法石川 相手打線を抑えて笑顔でベンチに戻るエース左腕・宇部奨(撮影・浜本神威)

<秋季高校野球東北大会:学法石川2-7久慈>◇12日◇1回戦◇福島・あづま球場

久慈(岩手3位)が先発の宇部奨人投手(2年)が8回7安打1失点と好投し、7-2で学法石川(福島3位)を破った。

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夏が終わってから磨きをかけた直球が輝いた。久慈の宇部奨は「打ち取れる真っすぐが持ち味」と語り、最速は134キロながら、緩急をつけ、コースを突いて、相手打線を手玉に取った。7回まで散発4安打に抑え、優位に試合を進めた。

変化球もさえ渡った。「どの球でも勝負できることを自分のテーマにしている」。直球を軸に、スライダーやカーブ、チェンジアップを織り交ぜながら、打者に的を絞らせなかった。

このテーマを抱いたきっかけは昨秋だ。昨年、チームは秋の東北大会初出場を果たした。しかし初戦の金足農(秋田)戦で延長10回タイブレークの末に2-3で惜敗。宇部奨は10回5安打9奪三振と粘投を見せていたが、2-2で迎えた2死満塁、押し出し四球で3点目を献上。最後に投じたのはスライダーだった。「(その1球を)すごく後悔している。その時に、勝つためには全球で勝負できないといけないと思った」。

悔しさから、昨秋以降、体作りに注力した。下半身の強化でフォームの安定、上半身のウエートトレーニングで出力の向上を目指した。身長168センチで体重は60キロから3キロ増え、ベンチプレスも70キロが上げられるようになった。少しずつだが、成果は体に、結果に表れている。

次戦は鶴岡東(山形1位)と対戦する。宇部奨は「目の前の試合を勝ち切ることをすごく大事にしている。1つ1つを目標にしていかないとかなわない相手ばかり」と勝ってかぶとの緒を締めた。チームのテーマは「1戦必勝」。強敵たちに向かっていく。【浜本神威】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 久慈・宇部奨、磨きをかけた直球で好投「打ち取れる真っすぐが持ち味」緩急つけ打線手玉に