1軍監督就任を受諾し会見する井上監督(撮影・森本幸一)

中日井上一樹新監督(53)の就任会見が10日、名古屋市内で行われた。会見前には大島宇一郎オーナー(60)から正式な就任要請を受け受諾。同オーナー、吉川球団社長とともに会見に出席した井上新監督は「勝つチームにならないといけない責務を肝に銘じながら、重大な責任を務め上げる不安はあるが、我慢と勇気と、チームを明るくする、自分の長所を出しながらいいチームを作れたらと思う」と、3年連続最下位からの巻き返しへの抱負を語った。

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-あいさつ

「このたび監督をお受け致しました、井上一樹でございます。名古屋で育てられ、そしてドラゴンズで育ってきたので、恩返ししたい気持ちをずっと持ちつつここまでやってまいりました。先日まで指揮を執られていた立浪監督が3年間を勤め上げ、種をまき、やっと芽が出始めた中での引き継ぎ。責任は重大です。観客動員も230万人を超えることに甘えることなく、一丸となって、チームとして、勝つチームに成り上がらないといけない。責務を肝に銘じながら、監督という重大な責任を勤め上げられるのか不安がありますが、我慢と勇気と、持ち前のチームを明るくする、自分の長所を出しながらいいチームをつくれればな、と思っています。立浪監督にはお疲れさまでしたというねぎらいの言葉とともに、まだこれからもどんどんご相談させていただくことがあると思います。どうぞよろしくお願いします」

-今の心境

「そわそわしながらも、どきどきすると思っていたけれども、意外に冷静な自分がいる。就任会見をきっかけに、動けること(人事や組閣)もでてくるので、身の引き締まる思い」

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-就任の打診はいつ

「10月に入るか入らないかくらいに。1軍の最終戦(10月6日)が終えるまでは、立浪監督やコーチに雑音が入って不愉快な思いをしてほしくなかったので、しっかり線引きをしなきゃいけない意識はあった」

-受諾決断の決め手は

「歴代の監督の名前を挙げても、素晴らしい人材、人間力、それから戦術にたけた、圧倒的な知名度を考えると、僕でいいのか、という迷いが生じることもありました。決意を固めたのは、立浪監督へのリスペクトは僕はすごく持っています。立浪さんが育てた原石を、選手という財産、チーム力を、ドラゴンズ以外の、立浪さんとの絆がそこまで深くない方に持っていかれるよりは、僕が受け継ぐ、バトンをもらう形が一番スムーズなのかなと考えました。それで決断に至った」

-今のチームはどう見る

「強いチームというはまず数字を上げないといけない。12球団を代表する選手がいないわけでもない。選手たちは必死にやっているけど、能力を発揮するためにはどういう方向から攻めたらいいのか。個々の能力が仮に他のチームより劣っているなら、束になってそこを底上げすることでチームの戦力も上がると僕は信じています」

-目指すチーム像は

「2軍の選手には簡単に言えば『俺が好きな選手になれ』と言っています。もっとやりたいです、俺はもっと上を目指したいんです、っていう気持ちがある選手が好きだよ、と僕は常々言っている。2軍でできなかったことが1軍でできるはずがない。これは僕の口癖。僕も2軍で自分の種をまいてきた。選手が育ってくれれば、活気づけるのかなとは思っています」

-立浪前監督からはどんな言葉があったか

「『一樹、疲れるぞ』というのはよく聞きましたけど。立浪さんがここまで育ててきた選手、口酸っぱく『これをやりなさいよ』と言ってきた選手はいるので、継続的に言っていかないといけない部分は持ち続けなきゃいけないと思っています」

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-持ち前のコミュニケーション能力をどう生かすか

「年齢層はさまざまなので、それぞれの性格に合った、野球のことだけでなく、対話を持つことは意識しています」

-選手に守って欲しいこと

「簡単です。和を乱すな。それから僕が言ったものに対して徹底してくれ、それだけです。みんなと同じ矛先を向けない選手は実際いらないよ、という話になってきますから。そこは意識させます」

-現役時代のトレードマークだったピンク色は使うか

「今思えば、当時僕がピンキーをなぜやったのか考えたときに、やっぱり星野仙一監督へのアピールもでした。人より目立ちたかった。アピールをしなきゃけないところから始まった。そういった形で自分の個を出すことを、選手たちにも、許される範囲で、どんどんアピールとしてほしい」

-秋季練習へ向け野球のスタイルは

「偏りすぎるとだめ。時には足を使った方がいいし、時には小技を使ったり、時には、ばっかんばっかん花火で勝つ試合があるから野球は面白い。技を絡めた足を絡めた野球が好きで、自負している」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【中日】井上新監督「俺が好きな選手になれ」守ってほしいことは「和を乱すな」/就任会見一問一答