パドレス対ドジャース 4回表ドジャース1死一塁、ベッツ(後方)の中飛で二塁に進む大谷(撮影・菅敏)

<ナ・リーグ地区シリーズ:パドレス0-8ドジャース>◇第4戦◇9日(日本時間10日)◇ペトコパーク

【サンディエゴ(米カリフォルニア州)9日(日本時間10日)=斎藤庸裕、四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、リーグ優勝決定シリーズ進出へ逆王手をかける大勝に貢献した。パドレスとの地区シリーズ第4戦に「1番DH」で出場し、3打数1安打。2回に追加点となる右前適時打を放ち、12安打8得点と奮起した打線をけん引した。シリーズ2勝2敗のタイとし、本拠地で開催される第5戦はパ軍先発のダルビッシュ有投手(38)と再戦。ド軍は山本由伸投手(26)が登板する可能性も高く、日本人対決で決戦に臨む。

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大谷の積極性が大勝の原動力となった。第1打席、右腕シースの初球を思いっきり強振。空振りとなったが、ロバーツ監督は「ショウヘイのアグレッシブな初球スイング、シースを序盤で攻略したこと、それで流れをつかんだ」と振り返った。大谷は2回2死一、三塁のチャンスでも初球スライダーをフルスイング。右前適時打で2点目を奪い、力強くガッツポーズ。三塁側ベンチに向かって、大きく口を開けて叫んだ。

高ぶる気持ちを抑えられなかった。4回1死の第3打席、四球で出塁し、続くベッツの中飛でタッチアップ。好走塁で二塁へ進塁し、続く3番T・ヘルナンデスの三塁線を抜く当たりで一気にホームへ突っ込んだ。だが、パ軍の三塁手マチャドがグラブで弾いた打球は三塁塁審の左腕に当たった。結果的に、マチャドの素早い処理と送球で本塁タッチアウト。ベンチ内で映像を見返した大谷は三塁塁審の方へ何やら言葉を発しながら怒りの表情を見せた。イブル三塁コーチの制止を振り切った走塁だったとはいえ、ここまで憤りを表すのは極めて珍しい姿だった。

あふれ出た気迫が士気を高めたのか、打線は12安打8得点。その突破口を開いたのは2番ベッツだった。1回1死からシースの速球に力負けせず、2試合連続アーチとなる先制弾を中越えにたたきこんだ。22年の地区シリーズ途中から22打数無安打と苦しんでいたが、直近2戦で9打数4安打。ベッツが「チームの一員として、やるべきことをやる。そこに集中していた」と語れば、ロバーツ監督も「自分の出来ることをやってくれればいい。それを選手たちが今日、やってくれた」と目を細めた。

1、2番コンビが打線を引っ張り、投打がかみ合う強いド軍の勝ち方だった。先発の駒不足でこの日は救援陣をつなぐブルペンゲームだったが、8投手の継投で無失点。シリーズ突破へ逆王手をかけ、ロバーツ監督は「ここまでの選手たちの戦い方を見て、第5戦が楽しみだ」と自信をのぞかせた。本拠地へ戻り、第2戦で封じられたダルビッシュと再対決。決戦の舞台がそろった。

▼ドジャースが第4戦に勝利し、2勝2敗の五分とした。5試合制のポストシーズン(PS)で1勝2敗から第4戦を勝ったチームは、5戦目に48試合で27勝21敗と勝率5割6分2厘。第5戦はドジャースタジアムで開催。シリーズ勝者が決まる試合で、ホームチームは62勝66敗で勝率4割8分4厘。

▼ドジャースは、元広島のブレージャー(広島での登録名はブレイシア)から8投手の継投で完封リレー。PSの完封では20年ワイルドカードシリーズ第3戦のパドレスの9投手に次ぐ、史上2番目の大量起用。先発投手が4アウト以下での完封リレーは、この日のタイガース(3アウト)と2チーム目。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 大谷翔平の積極性が大勝の原動力 初球を強振、二塁へタッチアップ「第5戦楽しみ」ロバーツ監督