パドレス対ドジャース リーグ優勝決定戦進出に王手をかけ、ナインとタッチをするパドレス・ダルビッシュ(中央)(撮影・菅敏)

<ナ・リーグ地区シリーズ:パドレス6-5ドジャース>◇第3戦◇8日(日本時間9日)◇ペトコパーク

04年の開場以来、20年目で史上最多となる4万7744人の観衆であふれかえったペトコパークには、ゲームセットの瞬間まで異様な空気が充満していた。試合開始前から「BEAT LA(LAをやっつけろ)」の大合唱が響く中、9回2死からは元阪神スアレスが101・3マイル(約163キロ)の快速球で空振り三振に仕留めてフィニッシュ。宿敵ド軍を振り切り、シリーズ突破へ王手をかけた。

流れを決めたのは、チームの顔、マチャドの過激な走塁だった。0-1と1点を追う2回無死一塁。5番メリルの一ゴロの際、一塁走者マチャドは、併殺崩しを狙い、遊撃ロハスが構える内野側へ走路を変えた。「瞬間的に、投げるのを難しくなるようにしただけだよ」。芝生部分に足が入るギリギリのコース。右足首痛でステップの踏み替えができず、両膝をついたまま、二塁へ投げた一塁フリーマンの送球がマチャドの背中に当たり、無死一、三塁と好機が広がった。「ルールは分かっていた。重要な状況に対して春季キャンプから練習してきたから」。審判団からの指摘もなく、記録上は「一塁手の悪送球」と判定され、プレーは続行。その後、野選、適時打、犠飛と続き、最後はタティスの2ランで一挙6点を挙げて逆転。本拠地の空気が一変した。

今シリーズ3発のタティスは、クセ者感たっぷりのマチャドの走塁を笑顔で振り返った。「彼は球界で最も野球IQの高い選手だからね」。シルト監督も「彼は本当にいい野球選手」と、批判的な声を打ち消すかのように言った。3回には1点差まで詰め寄られたものの、完璧な継投で逃げ切り勝ち。ド軍相手に3勝1敗で勝ち抜いた22年と同じパターンで王手をかけた。試合展開、雰囲気とも、パ軍優位は動きそうにない。「本拠地の観衆はとてつもなく大きいね」。シルト監督の冷静な口調が、自信たっぷりに響いた。【四竈衛】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 パドレスがリーグV決定S王手 マチャドの過激走塁が本拠史上最多4万7744人観衆に火つけた