長谷部コーチ(右)をまじえボール回しをするMF藤田(右から2人目)とFW上田

【ジッダ(サウジアラビア)8日=岩田千代巳】FW上田綺世(26=フェイエノールト)が、鬼門の地での“日本勢初得点”の大仕事に挑む。

日本代表が、ワールドカップ(W杯)北中米大会アジア最終予選・アウェーでのサウジアラビア戦(10日)に向け調整。直近のオランダ1部・トゥエンテ戦で今季2得点目を決めた上田が、好調を維持し日本代表に合流。鬼門打破へエースの責任感を口にした。

敵地でのサウジアラビア戦は過去3試合、すべて0-1で敗戦。21年の試合は、1トップのFW大迫勇也が、17年の試合は1トップのFW岡崎慎司が再三の好機で相手GKの好セーブもあり、ネットを揺らせなかった。過去の日本代表のエースが得点を取れなかった。

上田は「記録的なところはあまり考える必要がないかなと思いますけど。僕らが今、W杯予選を戦っていて2連勝して、1位をキープしているので。この2試合、やはりヤマ場になると思うし。ここの2試合で、この後の展開も大きく変わる。3戦連続無得点よりも、チームを勝たせる1点を取れたらいいかなと思います」と話す。

所属クラブでは、エースFWヒメネスが負傷し、9月28日のNEC戦から先発を担う。昨季は、先発のチャンスでなかなか結果を残せなかったが、今季は先発2試合目でしっかり結果を残した。

「今は勝負だと思うので、体の準備だけはしっかりして、最大限、パフォーマンスを発揮するというのは意識しています。去年1年間、なかなか試合に出られない中で、いろいろ、トライしてやってきたことが、去年の後半から出るようになって。それが、今年もまたさらに積み重なって出せている結果だと思うので。さらにもっと積み重ねて。もっとチームの勝利に貢献できる結果を残さないといけないなと思ってます」。

トゥエンテ戦の得点は、2日の欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)・ジローナ(スペイン)戦でPKを外した直後に決めたもの。メンタル面での大きな成長を感じさせた。

「まずPK外しちゃだめなんですけど…(笑い)。そこで、続くとチームも個人的にもパフォーマンスが落ちてしまう。もちろん、切り替えるのは簡単ではないですけど。やっぱり自分で結果を残して、無理やりでも切り替えていくしかない。前節の1点はいろんな意味があった1点だったと思います」と振り返る。

22年7月に鹿島アントラーズからベルギー1部セルクル・ブルージュへ移籍。移籍直後は苦しんだが、チームメートの信頼をつかみ22得点を挙げた。1年でオランダの名門・フェイエノールトへステップアップ。昨季は苦しんだが、終盤に得点を重ね、今季も結果を残す。日本代表でも、W杯アジア最終予選の初戦、中国戦で得点こそはなかったが、ゴール前でMF南野拓実の得点を、繊細な技術が詰まった1タッチパスでお膳立てした。プレーの引き出しも増え、FWとして成長中だ。

「今、自分がチームで求められて、やっていることが代表でも出せていますし。そこに応えられたらいいかなと。(引き出し増やすために)いろいろいっぱいやっている。少しずつですけど形になってきました」。苦しみながらも、果敢に壁に立ち向かい高みへと駆け上がるエースが、鬼門でジンクスを破る準備は出来ている。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本代表】欧州で成長中の上田綺世、鬼門の地での日本勢初得点へ「チームを勝たせる1点を」