龍谷大平安との京都大会決勝 優勝旗を手に笑みを浮かべる、決勝打を放った立命館宇治の主将・伊藤(撮影・中島麗)

<高校野球秋季京都大会:立命館宇治3-2龍谷大平安>◇6日◇決勝◇わかさスタジアム京都

10年ぶりのセンバツ出場を目指す立命館宇治は、延長10回タイブレークの末にサヨナラ勝ちで、秋15年ぶりの優勝を果たした。

決勝打は、病と闘う主将の一振りだった。延長10回タイブレーク無死満塁で、主将で4番・伊藤央太捕手(2年)の中前適時打で、劇的な幕切れとなった。

里井祥吾監督(41)は、伊藤を「完全にキーマン、チームの柱」と評す。「他の子の『落ち着けよ』とあの子の『落ち着けよ』の言葉の浸透度は違う。大会を通じて1番成長した」。続けて「抽象的ですが、『勝ち運がある選手』です。選手に対しての接し方や、チーム作りでの役割を理解している」。攻守にわたって、中心となり、マネジメント能力にたけている。

1年生ながら、23年の夏の甲子園では、背番号13としてベンチに入った。

2年生を迎えた今春、伊藤の体に異変が襲った。普段は正しく食事を摂っていたものの体重が減りやすくなり、疲労もたまる一方だった。受診した病院で、バセドウ病と診断され、医師から約3カ月間運動禁止を命じられた。ミットもバットも持てない日々を過ごし、今夏の京都大会はベンチ外。夏2連覇を阻まれ、無得点で敗れた龍谷大平安との4回戦は、スタンドから試合を見届けていた。

この日は、同校との一戦。前主将から「絶対やり返せ」と優勝を託された。決勝打には「うれしいの一言です。完全に治る病気ではないけど、今後も一生付き合っていくし、自分の体と相談します」。

マスクを被っては、チームに安定感をもたらし、無失策の守備で隙を与えなかった。この日フル出場し、歓喜の輪の中で喜びを分かち合った。【中島麗】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 優勝した立命館宇治はバセドウ病と向き合う主将・伊藤央太が決勝打「勝ち運がある選手」監督/京都