C大阪対G大阪 G大阪に勝利し歓喜するC大阪小菊監督(撮影・上山淳一)

<明治安田J1:C大阪1-0G大阪>◇第29節◇2日◇ヨドコウ

J1通算48度目の大阪ダービーは、スコアこそ1-0だったが、セレッソ大阪のMF田中駿汰(27)が「完全試合」と表現したほどの完勝だった。

「前半から相手のやりたいことを封じ、自分たちのやりたいことができた。正直、完全試合と言っていいんじゃないかと思う」

前線からの守備で相手に重圧をかけ、ミスで失っても切り替えが速い。今までにはなかったゴールを目指す姿勢を示し、シュート数は16対3と圧倒。総走行距離も約9キロも上回る113キロをマークした。

開幕から32試合目、残り6試合という最終盤でようやく、会心の90分間を演じた。

小菊昭雄監督(49)は「選手にはマストで勝ち点3を取ろうと。極端な話、内容は悪くても勝利にこだわり、戦おうと話していた。これだけ素晴らしい内容をともなった勝利は、うれしく思う」と、素直に喜んだ。

ガチガチの主力が起用される傾向にある大阪ダービーの性質上、控えや若手が先発になることは少ない。

だが、この日はFW北野颯太(20)、MF阪田澪哉(20)、MF喜田陽(24)、DF進藤亮佑(28)の4人が、リーグ戦の大阪ダービーで初先発。実績ある進藤は別としても、若手3人が実力で大一番の先発を奪い取った事実は、大きい。

実際に北野は決勝アシストを記録し、時速25キロ以上のスプリント回数は、チーム1位の25回を計測。喜田は抜群の運動量でスルスルと相手に忍び寄り、こぼれ球を回収した。阪田は独特の前傾姿勢でドリブルで仕掛け、無理な体勢でもシュートを放った。

これまでルヴァン杯でのG大阪戦には3度先発していた北野は、アグレッシブなプレーを貫き、リーグ戦での初先発に胸を張った。

「この試合は特別だし、重みは分かっていた。小菊さんのやりたいサッカーができた」

開幕直後は2度も首位に立ったが、夏以降はボール保持をしてもミスから失点。保持しても敵陣で急所には攻め込めず、小菊体制ワーストの4連敗を含む8戦連続未勝利を味わった。前節までの10試合で1勝4分け5敗と、一時は首位に立ったチームとは思えない不振だった。

DF舩木翔(26)に続いてDF鳥海晃司(29)が故障離脱したこの日、守備的MFの田中を3バックの中央に配置するぶっつけ本番のシステムで臨んだ。これまでのC大阪なら、決壊していたかもしれない緊急事態だが、それをも「完全試合」に変えるほど、全員が危機感を力にした。

20年ぶり4度目となった平日開催の大阪ダービーの試合前、森島寛晃社長(52)らクラブ職員は験担ぎでカツカレーを食べた。来場すれば、11戦不敗(8勝3分け)となった幸福の神様「ビリケンさん」の力も借りた。それほど心配された9位のチームは、土俵際で上位戦線に生き残った。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【C大阪】「完全試合」でG大阪に快勝 ダービー初先発の北野颯太らが今季最高の内容を演出