「未知の領域」の、その先へ―。プロ野球ソフトバンクの和田毅投手(41)は今季、長く背負う背番号「21」と同じプロ21年目を迎える。「この年齢になれば怖いものはない。どこまで成長できるか。自分に期待しながら、やれるだけやりたい」。強い気持ちでシーズンに備えている。 昨季は5回限定の起用が続いた中、7勝(4敗)を挙げた。通算奪三振の球団記録を塗り替え、9月30日の楽天戦では日本通算150勝に到達。「未知の領域」と捉えて臨んだ一年だったが、「ああいうアプローチでこういう結果が出たんだなと、自分で驚く部分がある。オフからやってきたことは間違っていなかった」。5月29日の広島戦では直球が自己最速の149キロを計測。2月で42歳になるが、いまだ衰えることを知らない。 和田は毎オフに「準備が大切」と繰り返す。その姿勢は今年も同じだ。今月9日に長崎市内で自主トレーニングを公開。午前中に数種類の体幹強化メニューをこなし、その後は恒例の坂道ダッシュ。後輩の板東や藤井ら10人以上の大所帯で先陣を切って走り、全長175メートルの急勾配を8本完走した。「基礎しかやっていないが、僕にとってはそれが大事。『またこれをやるのか』と思われるくらいやれたら」。肩肘の不安はなく、表情も明るい。 昨年末の契約更改交渉の後、通算200勝への意識を問われた。「遠過ぎません? 亀がフルマラソンのスタート地点にいるような感じ」と表現したが、「ゆっくり歩き続けて35キロ地点くらいまで行けば、見えない景色が見えるかもしれない」とも。さらなる高みを見据え、今季も第一線で腕を振る。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕自主トレーニングを公開し、キャッチボールをするソフトバンクの和田=9日、長崎市 〔写真説明〕自主トレーニングで坂道ダッシュをするソフトバンクの和田=9日、長崎市