動きのいい翔猿をつかまえると、流れるような攻めで力の違いを見せつけた。連敗を免れた若隆景は「しっかり一日一番という気持ちでやっている」と淡々。自らに言い聞かせるようだった。 翔猿には先場所で敗れた。今場所２日目には大関貴景勝を破った相手だが、「先に攻めることができた」と積極性が戻った。右四つに組んで動きを止めると、上手出し投げで泳がせて、すかさず送り出し。土俵下の佐渡ケ嶽審判部長（元関脇琴ノ若）は「自分の形。慌てなかった」と評価した。 昨年は、新関脇として臨んだ３月の春場所で初賜杯を抱くなど、全６場所で勝ち越し。初の年間最多勝にも輝いた。人気力士の仲間入りを果たした中、充実感に浸ることはなく、「もう一つ、上を目指すことができる」と明言。大関昇進を目標に見据えている。 稽古場から火花を散らし、若隆景をライバル視する関脇豊昇龍は３連勝の好発進。同じ大関候補として負けられないという気持ちを貫き、白星を重ねられれば、横綱不在の場所を盛り上げてくれるだろう。 （了） 【時事通信社】 〔写真説明〕若隆景（右）は翔猿を送り出しで下す＝１０日、東京・両国国技館