アルペンスキー女子の第一人者、ミカエラ・シフリン(27)=米国=が偉業に近づいている。オーストリアのゼメリンクで昨年12月27日から29日まで行われたワールドカップ(W杯)で3連勝し、節目の通算80勝目。同じ米国の元女王、リンゼイ・ボンが持つ女子歴代最多の82勝にあと2勝と迫った。今月4、5日の2連戦(ザグレブ)で大記録に並ぶ可能性もある。 2022~23年シーズンはここまで12戦6勝。同一会場で3連戦(大回転、大回転、回転)を全て制すという圧巻の「22年締め」だった。AFP通信によると、シフリンは「言葉に表すのが難しい。3日間、本当に全力で滑ったから」。80勝目については「実感が湧かない。でも、ちょっと興奮している」と語った。 17歳だった12年12月、スウェーデンのオーレで回転を制してW杯初勝利。一気に台頭し、13年2月の世界選手権(オーストリア・シュラートミング)回転で初優勝した。14年ソチ五輪の回転で同種目最年少(18歳)の金メダリストに輝き、18年平昌五輪では大回転で金メダルを獲得。技術系種目(回転と大回転)を得意とし、W杯の勝利も積み重ねていった。 昨年2月の北京五輪は大回転、回転とも無念の途中棄権。失意を味わいながらも、W杯では4度目の総合優勝を果たした。 ボンの記録を抜けば、その先には男女合わせた最多記録、インゲマル・ステンマルク(スウェーデン)の通算86勝がある。今季も総合優勝なら5度目となり、1970年代を中心に活躍した通算62勝のアンネマリー・モザー・プレル(オーストリア)の6度に次ぐ。レジェンドたちの背中が視界に入っている。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキー女子のW杯で通算80勝目を挙げ、笑顔を見せるミカエラ・シフリン=2022年12月29日、オーストリア・ゼメリンク(EPA時事) 〔写真説明〕アルペンスキー女子のW杯回転で滑走するミカエラ・シフリン。この試合で通算80勝目を挙げた=2022年12月29日、オーストリア・ゼメリンク(EPA時事)