実績からしても、宇野の優勝に驚きはない。2位とは40点近い大差が付いた。その結果以上に意義があったのは、新たなジャンプの試みだった。 4回転は冒頭のループをきれいに降りながら、続くサルコーは抜けて2回転となり、フリップでは転倒。それでも焦らなかった。 「コンビネーションをちゃんと跳ばないと点数が伸びない」と気持ちを入れ直し、後半に4回転からつなげる2度の連続トーループはそれぞれ3回転、2回転へ。直後にはトリプルアクセル(3回転半)から2回転半を2度跳ぶ3連続を決めた。大会中の公式練習では跳んでいたが、試合で入れるのは初めて。「いつもやれないことを今回はできた」とうなずいた。 昨季は北京で五輪2大会連続メダルとなる銅を獲得し、世界選手権で初優勝した。大きな成果を挙げた後に調子が落ち込む選手もいるが、宇野は違った。「もっと成長できる余地がある。スケーターとしてやり残していることがある」との思いで練習に打ち込み、今季は初のグランプリ・ファイナル制覇を果たした。 連覇が懸かる世界選手権へ向けても「もっともっとレベルアップできる」。貪欲な姿勢は衰えず、むしろ増すばかり。25歳は頼もしい。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕男子フリーで演技する宇野昌磨=25日、大阪・東和薬品ラクタブドーム 〔写真説明〕男子フリーで演技を終えた宇野昌磨=25日、大阪・東和薬品ラクタブドーム