アルゼンチンのメッシが8年の時を経て、再びたどり着いた。前回準優勝のクロアチアを破り、決勝へ。120分間を戦い抜いた準々決勝から中3日で疲労が残る中でも、ひときわ輝きを放った。 0―0の前半34分、アルバレスが倒されて得たPK。メッシは蹴る前、スタジアムのスクリーンを見ながら髪形を整えるほど冷静だった。 ボールだけを見詰め、迷わず左足を振り抜いた。代表ではほとんど狙ったことがないゴール右上へ、強烈なシュートを突き刺した。3戦連発で今大会の得点ランキング首位のエムバペ(フランス)に並ぶ5得点目。歓喜の輪が解けると十字を切り、天を仰いだ。 勝利を決定付ける3点目は、利き足ではない右足で生み出した。後半24分。ハーフライン付近の右サイドでスローインを受けると、一気に加速。緩急自在のドリブルで相手をかわし、ペナルティーエリア内に進入すると、最後は股下を抜く芸術的なパスを右足で中央へ。アルバレスのこの日2点目をアシストし、「勝利に値するいいプレーができた」と自賛した。 1次リーグ初戦でサウジアラビアに衝撃の敗戦を喫した後、沈む仲間を鼓舞した。「チームの実力を示し、これまで以上に強くなって前を向こう」。前線から中盤まで自由に動き回り、チームをけん引。頼れる主将が南米王者をよみがえらせ、「このメンバーならやり遂げられると確信していた」と信頼感を口にした。 最後と位置付ける5度目のW杯。史上最多に並ぶ通算25試合出場の節目を完勝で飾り、決勝は記録を塗り替える舞台にもなる。「勝つ自信がある。楽しもう」。悲願の優勝トロフィーは、もう目の前にある。 (ルサイル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、先制のPKを決めるアルゼンチンのメッシ(右)=13日、ルサイル 〔写真説明〕後半、ゴール前に攻め込むアルゼンチンのメッシ(左)。右はクロアチアのグバルディオル=13日、ルサイル 〔写真説明〕前半、ゴールを決めたアルバレス(右)を祝福するアルゼンチンのメッシ=13日、ルサイル