ゴールへの嗅覚は鋭かった。フランスのジルーは後半33分、グリーズマンから供給された左クロスに反応。ゴールの近いサイドに走り込み、相手DFよりわずかに前に体を入れる。得意のヘディングシュートを突き刺し、雄たけびを上げた。  その1分前。デンベレの折り返しに合わせて左足ボレーを放ったが、GKの好セーブに阻まれた。イングランドに押し込まれる展開の中、数少ない決定機を逃したものの、「もう一回チャンスがあるかもしれないと思った」。すぐに切り替え、結果に結び付けた。  開幕直前にベンゼマが離脱。当初は控えの立場だったが、代役として出色の働きを見せている。前回ロシア大会は周囲を生かすポストプレーなどで攻撃をけん引。優勝に貢献したものの、自らは無得点に終わった。それが今大会は既に4得点。「信じられないような気分」と声を弾ませる。  ティエリ・アンリ氏を抜き、フランス代表で歴代単独トップに立つ通算ゴール数を53に伸ばした。くしくもこの日、イングランドのケーンも後半早々にPKを決め、同国代表通算53得点目に到達。だが、相手エースは終盤に得た2本目のPKを失敗。両チームのセンターフォワードは、明暗が分かれた。  イングランドとW杯で対戦するのは40年ぶり3度目で初勝利。欧州の強豪同士がぶつかり、注目された一戦を物にした。史上3カ国目の連覇まであと2勝。「このチームにはそこに到達する価値がある」。新世代の台頭が著しいチームで存在価値を証明し続ける36歳は、視線を先に向けた。 (アルホル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、勝ち越しゴールを決めるフランスのジルー(中央)=10日、アルホル(EPA時事) 〔写真説明〕後半、勝ち越しゴールを決め、喜ぶフランスのジルー(左)=10日、アルホル(EPA時事) 〔写真説明〕後半、勝ち越しゴールを決め、祝福されるフランスのジルー(右から2人目)=10日、アルホル
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 ジルー、さすがの嗅覚=出色の働き見せる36歳―W杯サッカー・フランス