ピッチを縦横無尽に走り続け、球際で見せる激しさにも光るものがある。クロアチアのMFモドリッチは「ここにたどり着けるとは誰も思っていなかった」。驚きを隠さなかったが、いぶし銀の働きでブラジル戦の番狂わせに大きく貢献した。 劣勢が予想された中、序盤から互角に渡り合った。クロアチアの攻撃とチャンスは、ほぼ全てがモドリッチが起点となった。広い視野と鋭いパスで試合をコントロール。ドリブル突破で決定機を探る相手エースのネイマールとは対照的で、見応えのある10番対決にもなった。 前回大会の最優秀選手に輝いた世界屈指の名手は、巧みに位置取りを変え、少ないタッチでボールをさばき、攻撃のリズムに落ち着きをもたらす。そして、どのプレーにもほとんどミスがない。狭いエリアを簡単に打開するプレーには、観衆から何度も歓声が湧いた。 延長前半終了間際にブラジルに先制を許し、「ほぼ負けるという状況になり、みんな諦めかける状態になった気がした。でも、僕らには信念と自信があった」。チーム最年長の37歳とは思えぬ無尽蔵の体力でボールを追い、最後までチームを引っ張った。4人全員が成功したPK戦では、3人目に登場して冷静に決め、力強く拳を振り上げた。 日本戦でも見せたように誰もが粘り強く、献身的に戦える。人口約400万人の小国が王国を破っての2大会連続のベスト4は、確かな地力の証しだ。「こうやって勝つと、大きな喜びとともに自信も湧いてくる。さあ、準決勝だ」とモドリッチ。次は南米王者のアルゼンチン撃破を狙う。 (アルラヤン時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕PK戦でブラジルに勝利し、笑顔で駆け出すクロアチアのモドリッチ(手前左)とペリシッチ(同右)=9日、アルラヤン 〔写真説明〕前半、競り合うブラジルのネイマール(右)とクロアチアのモドリッチ=9日、アルラヤン(AFP時事) 〔写真説明〕前半、競り合うクロアチアのモドリッチ(下)とブラジルのパケタ=9日、アルラヤン(AFP時事) 〔写真説明〕前半、競り合うブラジルのリシャルリソン(左)とクロアチアのモドリッチ=9日、アルラヤン(ロイター時事)