確かな自信を持って臨んだ王国の挑戦が終わった。ブラジルは逃げ切りを図った延長後半、カウンター攻撃を浴びて追い付かれた。最後は決勝トーナメント1回戦でもPK戦を制したクロアチアの勢いに屈した。 チームの完成度は高かった。ブラジルと言えば個人の技術力を最大限に生かした攻撃が代名詞だが、前回ロシア大会でも指揮を執ったチチ監督はそこに組織的な守備を加えた。エースのネイマールには状況を見て自由にプレーさせ、その他の選手にはボールを失った際のプレスのかけ方を徹底して教えた。 先制点はネイマールだった。延長前半のロスタイム。なかなか好機を生かせないもどかしい展開を打破しようと、前線から少し下がってボールをもらいにいき、短いパスを使ってゴール前へ。現状を打破できる頼もしさを最高の形で示したが、悪夢が待っていた。5番手のキッカーとして控えていたPKの名手ネイマールへ順番が回る前に終戦。前回に続いて4強の壁を越えられず、「最悪な気分だ。4年前に起きたことよりもひどい」と声を落とした。 「史上最強」の呼び声もあり、2002年日韓大会以来の頂点を見据えていた。またしても持ち越しとなり、チチ監督は退任する意向。エースは今後の代表活動について明言を避けた。 (アルラヤン時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕PK戦でクロアチアに敗れ、うなだれるブラジルの選手=9日、アルラヤン 〔写真説明〕クロアチアにPK戦で敗れ、涙ぐむブラジルのネイマール=9日、アルラヤン