敗戦が決まったスペインの選手たちはぼうぜんと立ち尽くし、動くことができなかった。「ゴールを決めなければ、内容で上回ったと言っても価値はない」。モロッコの堅守に屈し、GKシモンは肩を落とした。 守備を固める相手を攻めあぐねた末、PK戦に持ち込まれた。ロシアにPK戦で敗れ、16強止まりに終わった前回大会をほうふつとさせる展開だった。ボールは持てても、運べるのはペナルティーエリアの手前まで。突破口が見いだせず、枠内シュートはわずか2本にとどまった。 ルイスエンリケ監督の采配もさえなかった。1次リーグの全3試合で得点を挙げたモラタをベンチに温存し、センターFWで先発したアセンシオは好機をつくれない。延長戦で投入したファティやバルデも見せ場なく終わった。 さらにPK戦では自身が指名した3人がそろって失敗。これには指揮官も「PK戦は私の責任。ブヌは素晴らしかった」と相手GKをたたえるしかなかった。 18歳のガビを筆頭に、若手の活躍が光った今大会。無念の敗退となったが、主将のブスケツは「つらい夜だけど、若いチームにはこの経験が糧になる」と未来に目を向けた。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕PK戦でモロッコに敗れ、ぼうぜんとするスペインイレブン=6日、アルラヤン