堅守を誇るスイスにとっては、まさかの展開だった。反撃の糸口が見いだせないまま6失点。1954年スイス大会準々決勝のオーストリア戦での7失点に次ぐ不名誉となり、ヤキン監督は「今夜のポルトガルは最高のチームだった。驚かされた」。相手を持ち上げるしかなかった。 1次リーグでの基本布陣だった4バックから3バックに変更して臨んだ。ポルトガルが好選手をそろえる中盤を手厚くしようという狙いだったが、ウイングバックの裏を狙われて後手に回った。ゴール前に人数を集めた相手の素早いパス回しについていけなかった。 ポルトガルとは6月に欧州ネーションズリーグで対戦し、1―0で破っていた。ただ、その底力は十分に承知。シャキリは「あのチームに先制を許してしまうと苦しくなる」と、勢いに乗せてしまったことを悔やんだ。 94年米国大会から4度はね返されてきた決勝トーナメント1回戦の壁。またも乗り越えられなかった指揮官は、「悲観的になり過ぎる必要はない。チームは魂を見せてくれた」。温かい口調で選手をかばった。 (ルサイル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ポルトガルに敗れ、引き揚げるスイスの選手ら=6日、ルサイル