激闘の末に臨んだPK戦。4人目のハキミが決めると、熱狂的なサポーターによって真っ赤に染まったスタジアムは、割れんばかりの大歓声に包まれた。モロッコが1986年メキシコ大会以来、2度目の挑戦で「16強の壁」をクリア。レグラギ監督は「世界最高のチームを相手に勝ったのは並外れたことだ」と興奮気味に語った。 前半は押し込む場面もあったが、後半からはじっと耐えた。90分で試合を決めにきたスペインに対し、ゴール前を固めて我慢。何度もピンチを迎えながら、延長戦まで0―0でしのぎ切ると、選手たちはピッチにへたり込んだ。 死力を尽くした一戦を、GKブヌが締めくくった。PK戦では2人目のソレル、3人目ブスケツのキックを止めてガッツポーズ。歴史的勝利に貢献した守護神は「チーム全員ですごいことを成し遂げた。信じられない」と言って、はしゃいだ。 1次リーグF組は、前回準優勝のクロアチア、同3位で国際連盟(FIFA)ランキング2位のベルギーを抑えて首位で突破した。勢いそのままに、アフリカ勢では2010年南アフリカ大会のガーナ以来、4チーム目となる8強入り。「赤い旋風」はとどまることを知らない。 アフリカの指揮官として初めて準々決勝の舞台に臨むレグラギ監督は「スタッフ全員に対しても言葉を掛けたい。チームを導くのは一人ではなく、全員の力だ」。人望も厚い監督は1次リーグ最終戦に続き、ピッチで宙を舞った。 (アルラヤン時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕PK戦でスペインに勝ち、胴上げされるモロッコのレグラギ監督=6日、アルラヤン(AFP時事) 〔写真説明〕スペインのブスケツのPKを止めるモロッコのGKブヌ=6日、アルラヤン 〔写真説明〕PK戦でスペインに勝利し、駆け出すモロッコイレブン=6日、アルラヤン