諦めない心が奇跡を呼び込んだ。1―1の後半ロスタイム。韓国はエースの孫興民が相手DFを引きつけ、絶妙なスルーパス。黄喜燦が抜け出し、ゴール左へ流し込んだ。ユニホームを脱いで喜びを爆発させ、誇らしげに両拳を掲げた。 決勝トーナメント進出にはポルトガル戦の勝利が最低条件だった。試合後はピッチ中央で選手らが肩を組み、突破の行方を左右する同組のガーナ―ウルグアイの結果を見守った。「人生で最も長い6分間だった」(孫興民)。総得点の差でウルグアイを上回り、3大会ぶりの16強が決定。選手は手をつないでファンの待つ観客席へ駆け出し、芝の上で滑り込んだ。 前半5分に先制を許して窮地に追い込まれた。同27分にCKのこぼれ球を金英権が押し込んで同点。後半20分、脚の故障でこれまで出番のなかった黄喜燦を投入して勝負に出た。ともにイングランド・プレミアリーグでプレーする孫興民との二枚看板が、土壇場でカウンターから劇的なドラマを生み出した。 選手は涙を流し、抱き合った。自身3大会目で初めて突破した孫興民は「この瞬間を長い間、待っていた。これまでは悔し涙だったが、今回は喜びの涙だ」。殊勲の決勝点を決めた黄喜燦は「孫興民から『君を信じている』と言われていた。素晴らしい瞬間をつくれた」と達成感があふれた。 オーストラリア、日本に続き、史上初めてアジア勢3チームが決勝Tに進んだ。不屈の精神を体現した韓国。前だけを見詰め、王国ブラジルに挑む。 (アルラヤン時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ポルトガルに勝利し、喜ぶ韓国の選手=2日、アルラヤン