最前線での先発が予想される前田(セルティック)が静かに闘志を燃やした。運命のスペイン戦。「勝てば問題ない。強い気持ちでやりたい」。いつも通りの表情で語った。 ドイツとの初戦ではピッチを広く使ってボールを回され、前田は思うように守備のスイッチを入れることができなかった。スペインはドイツ以上にボール保持にこだわる。最終ラインにGKも加わって数的優位をつくり、攻撃を組み立てる。 引き分けたスペインとドイツの試合を見た前田は「結構プレスをかけられるとおどおどしていた感じだった。そこはチャンス」。GKシモンがパスコースを限定され、ピンチにつながるミスをした場面は参考になりそう。ただ、圧力をかけるには連動性が不可欠。「僕だけがやっても外される。チームでそれができればベスト」と強調した。 昨夏の東京五輪で延長戦にもつれるしびれる展開となったスペイン戦のピッチに立ち、今季は所属クラブで欧州チャンピオンズリーグに出場。スペインの名門レアル・マドリードとも対戦した。大きな舞台を踏んできたからこそ、浮き足立った様子はない。 「(W杯で)ベスト8と言っているので、いずれはこういう試合が来る。勝たないと上にはいけないが、それが先に来ただけ」と受け止めた。不完全燃焼に終わったドイツ戦の分まで、走り切るつもりだ。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕練習で汗を流す前田=28日、ドーハ