エースを欠いても王国は強かった。ブラジルはスイスの堅守を崩して連勝。ネイマールが右足首靱帯(じんたい)損傷で離脱する中、最終戦を残して決勝トーナメント進出を決めた。 前半はスイスの組織的な守備の前に0―0。初戦と同じく、後半にギアチェンジのタイミングをうかがう戦いとなった。18分すぎ。スルーパスに抜け出したビニシウスのシュートがネットを揺らす。VAR検証の結果、その前のプレーがオフサイドと判定され、ゴールは取り消されたが、これを合図に攻撃のテンポが上がった。 迎えた38分。左サイドのビニシウスがドリブルで仕掛け、中央のロドリゴへ。ワンタッチでペナルティーエリア内に出すと、カゼミロが間髪入れずゴール右隅に突き刺した。決勝点のヒーローは「イライラする試合だったが、我慢できた。神に感謝したい」。流れるようなパスワークに、相手の守備陣もぼうぜんと立ち尽くすしかなかった。 大黒柱の不在は大きなマイナス要素だったが、それを感じさせない選手層の厚さを示した。前回大会を知るカゼミロは「新しい選手も入って、選択肢の幅が広がった。選手を入れ替えれば、前回よりも多くのオプションがある」と胸を張った。 1次リーグの2試合でしっかりと実力を示したブラジル。チチ監督が「他の選手もネイマールのレベルに近づきつつある」と認めるチームは、2002年日韓大会以来の頂点へ、最初の関門を突破した。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、先制ゴールを決めるブラジルのカゼミロ(左)=28日、ドーハ 〔写真説明〕後半、ブラジルに先制点を奪われ、立ち尽くすスイスのGKゾマー(右端)=28日、ドーハ(AFP時事) 〔写真説明〕スイスに勝ち、喜ぶブラジルの選手ら=28日、ドーハ