敵将のフリック監督は試合前、「日本にはドイツで活躍している選手がいる。われわれはチャレンジャーとして戦うことを忘れてはならない」と言った。対戦相手に敬意を表しての発言だろうが、自信はあったはず。同国でプレーする日本選手の戦いぶりは、想定を上回った。 遠藤(シュツットガルト)は中盤の1対1でことごとく勝利。前半は思うようにプレスがかからなかったが、後半の布陣変更でマンツーマンに近い守備になると本領を発揮した。司令塔のキミヒに激しく体をぶつけるなど、ピンチの芽を摘む。「(ドイツで)やってきたことを証明したかった」と納得の表情だ。 ドイツの主力は強豪バイエルン・ミュンヘン勢が大半を占める。日本には同国でプレーする選手が8人。リーグ戦での対戦もあり、特長はチーム内で共有されていた。「何がいいところで何が弱点かは分かっている」と遠藤。何より、屈強な選手に負けないための技術とフィジカルが培われた。 堂安(フライブルク)が同点ゴールを挙げ、板倉(ボルシアMG)のロングボールに抜け出した浅野(ボーフム)が決勝点。鎌田(アイントラハト・フランクフルト)や主将の吉田(シャルケ)を含め、ピッチで「ドイツ組」の存在は頼もしかった。 「気負うことなく、自然体でプレーできた」と堂安。日頃から共にプレーする相手に気後れすることはない。ドイツ優位の前評判を覆す原動力になった。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ドイツのムシアラ(右)と競り合う遠藤=23日、ドーハ