手堅いと言われてきた森保監督が、早々と動いた。「攻撃に厚みをもたらすシステム変更。選手たちがよく対応してくれた」。4バックでスタートし、後半開始から3バックを採用。強豪ドイツに挑んだ大舞台で「伝家の宝刀」を抜いた。 前線に3人を並べたことで、前半は空転したプレスが効き始めた。「サイドで(プレスが)はまったところからの速攻を相手がすごく嫌がっているのは感じた」と伊東。防戦一方の前半から、日本に流れが傾いた。 3バックは、指揮官がJ1広島の監督時代に愛用していた布陣とあって、「いつでもできると思っている」。A代表では4バックでチームづくりを進め、試合終盤で相手の形に合わせる、あるいは逃げ切り態勢で使うことが多かった。 だが今回は先手、先手で動いた。最初の冨安以外は、三笘、浅野、堂安、南野と攻撃のカードを次々と切って、ドイツをかき回した。相手の疲労が見え始めた終盤の8分間で堂安と浅野がゴール。浅野は広島時代にも途中出場で決めることがあり「きょうの采配はぴったりだった」。日本協会の田嶋会長は高評価した。 W杯アジア最終予選で1勝2敗と追い込まれた昨年10月のオーストラリア戦でも布陣を変更して勝利を挙げ、W杯出場までたどり着いた。今回は試合中での決断に「うまくいかなかった時の準備はしていた」。名采配で「歓喜」を超えるドーハの「衝撃」をもたらした。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ドイツに勝利し、笑顔の森保監督=23日、ドーハ