苦境に立たされるたび、ベールが姿を現す。これまで何度もウェールズを救ってきた33歳の英雄が、初出場のW杯でも大きな仕事をした。 1点を追う後半34分すぎ。ペナルティーエリア内でラムジーのパスに反応し、寄せてきたDFとボールの間に素早く体を入れてファウルを誘った。自身が得たPKで「迷いはなかった」と、重圧のかかるキッカーに名乗り出た。大きく息を吐き出して精神を集中。こん身のキックをゴール右上に決めると、雄たけびを上げながらゴール裏のサポーターに駆け寄り、何度も両腕を振り上げた。 昨季終了後にレアル・マドリードを退団し、ロサンゼルスFCに移籍。確実にプレー時間を得られる環境でコンディションを整え、ウェールズにとって64年ぶり2度目となる大舞台に備えてきた。ピーク時と比べれば動きに切れはなく、簡単にボールを失う場面も目についたものの、ここぞという場面で発揮する勝負強さはさすがだ。 試合終盤には疲れた様子も見せたが、「後半の出来は素晴らしく、自信になった」と満足げに振り返った。ページ監督は、頼もしいエースの活躍に「ベールがわれわれを失望させたことはない。またしてもやってくれた」と称賛の言葉を贈った。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、競り合うウェールズのベール(右)と米国のムサ=21日、アルラヤン